ハンナ・アーレントの思想を、彼女の著作を軸に、現代にひきつけた問いから整理した書。少ない文章量の中で鋭くまとまっていて、読み応えがあった。
今回とくに面白かったのが、第二章「『人間本性』は、本当にすばらしいのか?」。
「アーレントは、そうした冷厳な現実を踏まえて、『人間性のすばらしさ』あるいは『ヒユーマニズム』を無邪気に信じ、それを信じることによっていつかユートピアが実現できると思っている"良心的"な知識人たちに警告を発しているのである。無邪気な『人間性』信仰は、その理想に合わない者を排除する全体主義に繋がりかねない、と。」
私自身、思想や哲学の本も、新聞やテレビのニュースも、今の現状を見通す物語を期待して読んでいるふしがある。現実はそんなに単純ではない、冷静であれ、と釘を差された気がします。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2024年2月14日
- 読了日 : 2024年2月14日
- 本棚登録日 : 2024年2月10日
みんなの感想をみる