近く、奈良を訪れる予定があるので、予習を兼ねての読書。
書名だけは知っていた、有名な小説。
イメージとしては、鑑真の来日にまつわる苦労の話、成功の話、えらい人の立派な話(乱暴な言い方ですみません)。
だから、平成の世を慌ただしく生きている自分にはあまりにも遠くて、興味をもって読めないんじゃないかと思っていたのだけれど……良い意味で裏切られました。
大きな歴史のうねりの中、むしろ印象に残るのは、登場人物一人ひとりの生き方で。
特に、若い留学僧たち4人が、それぞれの道を進むなか、ちりぢりになり、目標を見失い、自分にはどうしようもない事象に流されながらもただ生きていく様子がが心に強く残りました。
そして、これから本書を読む方のために詳しくは書きませんが、終盤のクライマックスが、圧巻!
小説はほとんどの部分、淡々と出来事だけが述べられていて、登場人物の心の内に触れる箇所はごくわずかです。
でも、だからこそ、人生の儚さと絶望が自分のすぐ近くに感じられて、胸をかきむしられました。
留学僧の4人以外にも、たくさんの登場人物が行き交う、群像劇のような本書。
また年を重ねたら、違う人物が気になったりしそうで、機会をみて再読してみたい1冊でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2017年2月21日
- 読了日 : 2017年2月21日
- 本棚登録日 : 2017年2月21日
みんなの感想をみる