フロスト警部シリーズ第5弾の下巻。
少女誘拐、売春婦殺害、数十年前の白骨死体と、複数の事件が未解決のまま、デントン署とフロスト警部はじりじりと追い込まれていく。
保身のことしか頭にない署長や無能な部下にはさまれながらも、フロスト警部は相変わらず下品なジョークをとばしつつ不眠不休で事件に取り組むわけだが、真相に肉薄したかと思ったらまったく見当違いの方向だったことが判明することの繰り返しで、ついに最大のミスをおかしてしまう。
残りのページ数を気にしながら本当にこれらの事件が解決されるのか気をもみつつ、終わってほしくない気持ちも強まってくるのは、いつもの調子。
伏線や犯人あてよりも複数の事件が最後まで同時並行的に走るストーリーと、だらしないながらも人間味あふれるフロスト警部の不思議な魅力で毎回楽しませてくれる。今回は特に、無能な部下をかばう場面にフロスト警部の懐の深さが垣間見えた。このシリーズがあと一作しか残されていないのが非常に残念。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学・評論
- 感想投稿日 : 2014年3月1日
- 読了日 : 2014年2月28日
- 本棚登録日 : 2014年3月1日
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