私的2017年度ベストブック3に入るのは間違いない。
アフリカで「神の罰」と呼ばれるほどバッタが異常発生すると、植物という植物が喰われ甚大な被害に見舞われる。しかし、バッタ研究業界では、誰もアフリカで腰を据えて研究をしておらず、研究の歴史は止まったままだという。
本書は、少年時代(うっかり)ファーブルにあこがれてしまった著者が「未熟な博士でも、全力かませば、アフリカを救い、そして自分も研究者として就職できるかもしれん」と単身アフリカはモーリタニアに乗り込み、ドタバタしまくった、体験記である。
とにかく構成がうまい。
序盤は著者のへっぽこ話からスタート。笑いながら読み進むにつれ、研究対象への暑っ苦しい熱と、それらを取り巻くあらゆる環境・状況との「戦い」を冷静に分析する頭脳という、”研究者”という種族が持っている二面性がビシバシ伝わってきて、カッコよくすらある。
終盤、最終決戦への盛り上がり方に至っては、著者の苦楽を追体験してしまったことも相まって、不覚にもウルっと来てしまった(そしてクライマックスの脱力感たるや)。
無職の崖っぷちにあり、次に打つ手を間違えると研究者として「死ぬ」感じや、それを回避するために、考え、実行していくリアルさが、肌身に感じられて熱いくらいだった。今後の著者の活躍に大いに期待したい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
知識の本
- 感想投稿日 : 2017年6月22日
- 読了日 : 2017年6月22日
- 本棚登録日 : 2017年6月22日
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