春の雪
(和書)2008年12月04日 21:11
1977 新潮社 三島 由紀夫
意外に読み易い文章でした。身分と言うものを普遍的関係としてとらえてしまうのはあまりに安直過ぎる読み方でしょうね。ただ恋というものがその関係を普遍的なものにしようとしているのでしょうか。諸関係をくつがえせという無条件的命令をもっておわる=止揚するということを考えた時、終わりあたりの仏教の説教はそこだけ不思議に難解であると思いました。そこがこの小説のトリックなのかもしれません。豊饒の海(一)ということでまだ先があるから読んでみないと分からないことが多いと思いました。
清顕と聡子の恋愛だけの視点でみればとても読み易い美しい作品だと思いました。それ以上を望んだとき果たしてどこまでの作品なのかわかりません。
三島由紀夫の作品は読むのを避けてきたところがあります。でも最近はその謎を解いて行きながら読むことが面白く感じるようになりました。アイロニーの暗黒圏みたいなものを怖れていたのです。でもそれを批判しようと試みることは必要だろうと思いました。間違っていたとしてもそれに気づかなければ駄目だろうと思いました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年9月25日
- 読了日 : 2008年12月4日
- 本棚登録日 : 2020年9月25日
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