早逝の天才、伊藤計劃が遺したプロローグを円城塔が書きついで完成した小説。
19世紀末を舞台に死体を蘇らせた「屍者」たちを労働や軍事面で活用する、というパラレルワールドを設定した伊藤計劃もすごいが、その骨子に肉付けして素晴らしいエンターテイメント作品に仕上げた円城塔もすごい。
ワトソン、カラマーゾフ、フランケンシュタインなど、実在、架空を問わずこの時代の人々がどんどん出て来て活劇を繰り広げるのがクラクラするほど楽しい。しかし同時に進化、言語、魂とは、という伊藤計劃らしいテーマを真摯に問いかけてくる。
たぶん私は知識の欠如で元ネタの半分くらいしか気づいていないと思われるが、それでもためらいなく傑作と言える。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2012年9月29日
- 読了日 : 2012年9月29日
- 本棚登録日 : 2012年9月29日
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