読み終えた後にファンタジーノベル大賞と知り、驚いたきつつもたしかにファンタジーである。
子供のころ、何かになりたかった。
例えば、橋の下で拾われた子供で本当の両親は大金持ちとか、前世は異界のお姫様ですごい力を持っているとか、そういうもの。世界に対してあまりにもか弱く、たよりない自分が嫌いで、でもどうしたらいいかわからなくて、外から与えられる何かになりたかった。この本を読むとそんなことを思い出す。
この物語の主人公は、ブラックジャックになりたい。
黒い服を着て、あの髪形を再現しようとして、メスを投げる練習をする。
小学生のあたりまえの日常が、主人公のブラックジャックだったらどうするか、という強すぎる思いによって、滑稽ですこしさみしく、朗々と語られる。
読み終えて思う。ファンタジーだ、と。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2019年4月15日
- 読了日 : 2019年4月15日
- 本棚登録日 : 2019年4月15日
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