ブラック・ジャック・キッド (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2011年5月28日発売)
3.12
  • (2)
  • (14)
  • (33)
  • (7)
  • (2)
本棚登録 : 153
感想 : 26
4

 読み終えた後にファンタジーノベル大賞と知り、驚いたきつつもたしかにファンタジーである。

 子供のころ、何かになりたかった。
 例えば、橋の下で拾われた子供で本当の両親は大金持ちとか、前世は異界のお姫様ですごい力を持っているとか、そういうもの。世界に対してあまりにもか弱く、たよりない自分が嫌いで、でもどうしたらいいかわからなくて、外から与えられる何かになりたかった。この本を読むとそんなことを思い出す。

 この物語の主人公は、ブラックジャックになりたい。
 黒い服を着て、あの髪形を再現しようとして、メスを投げる練習をする。
 小学生のあたりまえの日常が、主人公のブラックジャックだったらどうするか、という強すぎる思いによって、滑稽ですこしさみしく、朗々と語られる。
 読み終えて思う。ファンタジーだ、と。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・エッセイ
感想投稿日 : 2019年4月15日
読了日 : 2019年4月15日
本棚登録日 : 2019年4月15日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする