巷に出回っているグルメ本といえば、画素数の高い料理とお洒落な空間を写した写真がメインで、添えられる文章は疎かになった傾向がある。鼻腔を抜ける香りが無く舌に乗る味も貧弱だ。でもどうだろう平松さんが味を再現すると、目の前に垂涎物の皿が次々と並び出す。舌はあたかも食べたかのように錯覚し、幻覚を見た眼は虫眼鏡で子細に拡大する。私の脳裏は忠実に料理を作り出してゆく。お腹はぐぅを通り越し、ぱーでアッパレ見得を切る。美味い(上手い)。こんなに美味しいエッセイとは恐れ入った。隠し味に人情味を添える所も憎いじゃないか。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年3月9日
- 読了日 : 2014年3月9日
- 本棚登録日 : 2014年3月9日
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