夢幻花(むげんばな)

著者 :
  • PHP研究所 (2013年4月18日発売)
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最初はぼんやりとした丸いものが
少しずつ見えてくる。

「どうですか?わかりますか?」
「いいえ。」
「これならどうですか?」

「…。あ、気球…かな?!」
「はい、OKです。」
速攻、ぷちん。

(あっ…!!)←と、声が出そうになる。(^^;

眼科検診で使われる写真は
綺麗な風景モノが多いので、(もっと眺めていたいのに…)なんて、つい思ってしまう。

この『夢幻花』を読んでいて
何故か視力検査の事を思い出した、というのは
最初、あまりにも縦(時間)横(登場人物の関わり)に広がりすぎていて
ぼんやりしていた背景が
(どうですか?)
(これならどうですか?)
と、少しずつクリアに見えてくる感覚が似ていたから。

物語で使われていた写真は
色鮮やかな黄色い朝顔であった。

ぷちん、と無情に消される心配もなく
読み終えてもしばらく目の奥に映ってる朝顔が
この胸にもたらしたものは単純な美しさばかりではない。

この地で花咲くことを許されなかった悲運の花と、
生まれた時から、選択肢のない道を歩まねばならなかった人達の苦難が、この物語から色を消し、立ち向かう覚悟が再び光を呼んだ。

そんな美しい光景を
しばらく眺めていられる幸運に、ゆ~っくり浸れて幸せな読後だった♪

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年4月21日
読了日 : 2014年4月21日
本棚登録日 : 2014年4月21日

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