最初はぼんやりとした丸いものが
少しずつ見えてくる。
「どうですか?わかりますか?」
「いいえ。」
「これならどうですか?」
「…。あ、気球…かな?!」
「はい、OKです。」
速攻、ぷちん。
(あっ…!!)←と、声が出そうになる。(^^;
眼科検診で使われる写真は
綺麗な風景モノが多いので、(もっと眺めていたいのに…)なんて、つい思ってしまう。
この『夢幻花』を読んでいて
何故か視力検査の事を思い出した、というのは
最初、あまりにも縦(時間)横(登場人物の関わり)に広がりすぎていて
ぼんやりしていた背景が
(どうですか?)
(これならどうですか?)
と、少しずつクリアに見えてくる感覚が似ていたから。
物語で使われていた写真は
色鮮やかな黄色い朝顔であった。
ぷちん、と無情に消される心配もなく
読み終えてもしばらく目の奥に映ってる朝顔が
この胸にもたらしたものは単純な美しさばかりではない。
この地で花咲くことを許されなかった悲運の花と、
生まれた時から、選択肢のない道を歩まねばならなかった人達の苦難が、この物語から色を消し、立ち向かう覚悟が再び光を呼んだ。
そんな美しい光景を
しばらく眺めていられる幸運に、ゆ~っくり浸れて幸せな読後だった♪
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年4月21日
- 読了日 : 2014年4月21日
- 本棚登録日 : 2014年4月21日
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