上流階級 富久丸(ふくまる)百貨店外商部

著者 :
  • 光文社 (2013年11月16日発売)
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芦屋にある大手百貨店の外商部(大口のお客さんへの営業をする部署)。百貨店の売り上げの3,4割をまかなうというその部署に配属された初めて女性外商員、鮫島静緒。
パート店員からバイヤーへと起用され、社長賞物の企画をも取った異色の経歴の彼女が今までとは勝手の違うお客様を相手に戸惑いながらもお客様の願いを叶えるために奔走する。

個性的な人たちがたくさん出てくるけれど、どれもちゃんと個性が描かれていて面白かった。まだまだ読みたい!続編希望です。

伝説のスーパーカリスマ外相、葉鳥さん。ぱりっと糊がきいたオーダーYシャツ、歴史を感じさせる三つ揃えのスーツ、黒のボウタイ。晴れている日でも傘を持つ、英国紳士。こんな風変りな人が、この小説にしっかり生きて、しかもちゃんと読者にも伝わるようなカリスマっぷりで描かれているのが凄い。普通は浮いてしまうと思う。
同期のボンボン。桝家修平。モデルのようなきれいな容姿に毒舌。てっきり静緒と恋愛関係になるかと思ったら、意外なライバル関係になって面白かった。
お客さんにも個性的な人がいっぱい。
いつも文句ばかり、厳しいことばかり言う鶴さんや元子爵の称号をもつ華族の奥様清家弥栄子さま。にぎやかなタイ人のベンツさん。ヤクザの愛人、珠理。
その他、静雄の周りには静緒の元旦那の神野や静緒が百貨店で働く前に勤めていた洋菓子店のパティシエ雨傘、おねえの金宮寺などなど個性的な人がいっぱい。
それらがちゃんと無理なく描けている筆力に感動です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(その他)
感想投稿日 : 2015年3月2日
読了日 : 2015年3月1日
本棚登録日 : 2015年3月1日

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