ダグラス・アダムスは前作『宇宙クリケット大戦争』でいったんシリーズを完結させたものの、諸事情によって新たに続編を書くことになり、そして作成されたのがこの『さようなら、いままで魚をありがとう』です。前作とは違ってこれは原題の忠実な訳で、地球で2番目に知能の高い生き物であるイルカ(ちなみに人類は3番目)が第一作目で地球から去る際に、人間たちに残した言葉ですね。<br>
今作では第一作の序盤の序盤でふっとんだはずの地球が何故か復活していて、主人公アーサー・デントが戻ってきたところからスタートします。どうして地球が復活しているのか?が本作の大きな疑問として、物語の大きな筋になるかと思いきや、さにあらず、本作はなんと『銀ヒチ』シリーズでありながら、アーサー・デントのラブストーリーになっていました。<br>
そのせいか非常に読みやすく、これまでの作品のように破壊力抜群の小ネタ集という感じにはなっていませんでした。おかげて物語の筋、終盤の展開も含めてこれまで以上に統一感と安定感が感じられる一方で、のたうちまわるほどのネタはそんなに多くはなかったですね。<br>
また、あとがきによればわずか3週間で書き上げられただけあって、SF的錬り込みがあんまり感じられない(思えば笑えるエピソードなども非SF的なネタが多かったような)ところも少し気にはなりました。<br>
それでも、神が残した最後の言葉にまつわるエピソード(マーヴィンの話が良い)や、駅でのビスケット争奪戦など、好きなエピソードはいろいろあります。<br>
そして、ラブストーリーの部分も意外と面白くて、物語的にはかなり楽しく読めました。これまでの三作とは少し印象が違いますけどね^^;<br>
そんなわけで、この4作目もお勧めです^^<br>
あ、ちなみに地球が復活した理由も最後のほうにさらっと述べられています。これはなかなかいい話だなあと思いました^^<br>
- 感想投稿日 : 2007年8月4日
- 読了日 : 2011年3月1日
- 本棚登録日 : 2007年8月4日
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