安保論争 (ちくま新書 1199)

著者 :
  • 筑摩書房 (2016年7月5日発売)
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本棚登録 : 215
感想 : 21
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第2時安倍政権時になされた集団的自衛権にかかる解釈変更について、歴史・国際政治の観点からその必要性を説く本である。度々高坂正堯の論文を引用しているように、著者はリアリズムの立場に立っていると思われる。したがって、著者は今次の安保法制賛成の立場から、反対的な人に訴えかけることを目的としているようだ。

国際政治史を勉強してきた評者はもちろん集団的自衛権の行使は賛成である。著者の言いたいこともよくわかる。ただ、この本の内容はここの論点についてあんまり深堀りされていないなという印象をもった。まあ2016年刊行の本だから仕方ないかもしれない。

軍事にかかわることになると、大して理解していないのにもかかわらず過剰に反応する日本人、とりわけ左派の人には困惑する。もはや集団的自衛権の問題は、政権を批判するための道具なってしまっており、その内容が的確に吟味されているとは思えない。こうした点は著者と同意見である。



読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本政治論
感想投稿日 : 2023年2月14日
読了日 : 2023年2月14日
本棚登録日 : 2022年4月10日

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