まっくろネリノ (世界の絵本)

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本棚登録 : 1728
感想 : 166
5

1973年発表の
ベストセラー絵本。

コレ最初に読んだの
いつやったかなぁ〜(^_^;)


自分も学生時代から
白い羊の群れに馴染めない
黒い羊だと思って
ずっと生きてきたし、

自分自身のアイデンティティに
疑問を感じてた時期もあって、

自分だけが黒い体だということに
コンプレックスを持つネリノに
本当に共感してしまいました。



物語は、
黒い体のせいで
誰にも相手にされなく
ずっと自分に自信が持てなかった、
真っ黒クロスケに似た
不思議な鳥のネリノが、

真っ黒な体の
ネリノでしかできないやり方で
兄弟たちのピンチを救い
自分は自分でいいんだと
本当に大事なことに気付くという
ストーリーです。


子供向けの絵本には珍しい黒を基調にした
表紙のインパクトと、

鮮やかで優しい
パステル調の絵の中に
孤独なネリノの
心模様を表したかのような
絶妙な黒の使い方が
見事ですね☆




他人との違いに気付き
それを認めるということは、
実はそう容易くはいかない。


人と同じだということが
安心感を生み信頼に繋がる、
小さな子供の世界では
なおさらだと思います。



だからこそ、この物語は
孤独は決して
悪いことではないということや、


自分は自分でしかないという事実は
悲しいけれど、
かけがえのないことでもあるということ、


他の誰でもないという事実こそが
綺麗だということ、


あなたは
あなただから
綺麗なんだよということを
無意識のうちに教えてくれる。



悲劇を俯瞰して
笑い飛ばす勇気をくれる
絵本なので、

アイデンティティに悩む
すべての人たちに
オススメします(^_^)v



ただパラパラと見て楽しむだけでも綺麗で
心落ち着きますよ☆

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2013年2月6日
読了日 : 2013年2月6日
本棚登録日 : 2013年2月6日

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コメント 2件

MOTOさんのコメント
2013/02/11

私も、どうして人と同じだと安心し、違うとコンプレックスを感じるのか?が、わかりません。

これって、人にどう思われるか?が、恐ろしすぎて、自分がどう思うか?と言う最も大事な気持を忘れちゃってる。って事なのかな?

確かに世間の目は怖いけど、
それより大事な事があるよって、忘れがちな事を
教えてくれたりするから、
絵本はイイですね♪

未読ですが、是非読んでみたいと思いました。

円軌道の外さんのコメント
2013/02/17


MOTOさん、
コメントありがとうございます!

日本は島国であることからか
人と同じであることに
安心感を覚える
閉鎖的な傾向にありますよね(^_^;)


自分も親がいないことや、
施設から通ってること、
いつも同じ服を着てること、
転校生だということ、
いろんな理由で
イジメられたし
自分のことも
黒い羊やって
ずっと思ってました。


でも仕方ないと諦めたり、
拗ねて俺は人とは違うんだって
開き直ってみても

結局はその自分自身の考え方そのものが
自分を差別している人たちの考えと
何も変わらないってことに
16で初めて気付いたんです。


自分を測るものさしは
『自分規格』でいいと思います。


人と比べて
無理矢理
「他人のものさし」で測ろうとするから、
しんどいし
みんな自分を見失うんじゃないかな。


みんなそれぞれが
主役の人生っスもんね(笑)

MOTOさんの人生は
MOTOさんが
主演女優やし(笑)。


じっとしてても
時間は矢のように過ぎていくんだったら、
どうせなら
他人を気にしたり真似るより、

生きたいように
生きなきゃ
勿体無いって自分は思ってます(^_^)v



あと自分も好きな音楽や
好きな文学も含めて
『言葉』というものに
ずっと救われてきたし、
歳を重ねて余計に
言葉の大切さを感じるんですよね。


特に絵本や児童書や
詩や童謡は
いかにしてシンプルな表現で
目に見えないピュアなものを伝えるかを命題にしているので、

胸の中の柔らかい部分に
直線響いてくるし。



こういう言葉の情感を感じたり
機微を読む感覚を磨いていけば、
人とのコミュニケーションにも
スゴく勉強になりますよね。


それに絵本は
子供に響く話は
実は大人にも
確実に響くってことを
あらためて気付かせてくれるから
好きなんです(笑)


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