ごんぎつね (日本の童話名作選)

著者 :
  • 偕成社 (1986年8月30日発売)
4.13
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本棚登録 : 1900
感想 : 187
5

両親のいない小狐のごんは、
村へ出てきては
イタズラばかりして、村人を困らせていた。

ある日ごんは、
兵十が川で魚を捕っているのを見つけ、
魚やウナギを逃すというイタズラをしてしまう。

それから10日ほどして、
兵十の母親の葬列を見たごんは、
あの時逃がしたウナギは
兵十が病気の母親のために
用意していたものだと悟り、後悔する。

母を失った兵十に同情したごんは、
ウナギを逃がした償いのつもりで
毎日イワシや松茸や栗などを
コッソリと兵十の家に届けに行く。

しかしその善意は
兵十には伝わらぬままに、
思いがけない結末を迎える…。



確か小学校の教科書に載ってましたよね(^^)

名作ということで
様々な人がイラストを書いているけど、

なんといっても
黒井健さんが描く
繊細なタッチの情感豊かな絵が、
切ない話に一番合っていると思うし、
個人的にも一番好きです♪


イタズラ好きのごんが兵十に同情したのは、
母親を亡くし
ひとりぼっちになった兵十に、
ずっと孤独だった自分の姿を重ね合わせたんだと思うな。


だけど
毎日届く栗やイワシを
ずっと神様のイタズラだと思っていた
兵十の話を聞いて、
寂しさを感じたごん。

最後に

『ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは…』

の兵十の言葉を聞けて、
頷きながら
嬉しかったごん。

最後の最後で
一瞬でも心が通じあえたのかな…(>_<)


もう書いている今も
あまりにも悲しい結末を思い出しては
撃沈です(泣)(ToT)


新美さんの作品は
『手ぶくろを買いに』同様に、
美しい日本の風景描写や
日本語の美しさを改めて教えてくれる。

そして親子の情愛や
動物と人間の触れ合い、

『やさしさ』や
『愛情』をテーマにした彼独特な作風は、

殺伐とした今の時代だからこそ
胸に沁み入るし、
これからも伝え続けていかなければならない
日本が誇る童話だと思っています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2012年5月4日
読了日 : 2012年5月4日
本棚登録日 : 2012年5月4日

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コメント 2件

MOTOさんのコメント
2012/05/04

こんにちわ。

兵十が最後につぶやく言葉、何度思い出してもうるうるしてしまいます…
相手の真意を汲み取るのって、とても難しい事ですよね。
でも、ごんの最期を思うと、人を信じずにはいられなくなる。
自分が傷つくのはイヤだけど、相手が傷つくのはもっとつらいという、そんな当たり前で、大事なことを「ごん」が教えてくれる様な気がして、何度も読み返してしまいます。

ホント、ずっとずーっと後世の人にも読み継がれていって欲しい!に同感です♪

円軌道の外さんのコメント
2012/05/07


MOTOさん、
コメントありがとうございます!

いやぁ〜めちゃくちゃ共感しました(泣)(T_T)


自分は引きこもりの子供たち対象の
ちょっとした教室をやってて、
この絵本で子供たちに
読み聞かせしたことがあるんやけど、

感情込めれば込めるほど、
自分自身がストーリーに
入り込んじゃうから、

兵十やごんの
お互いの痛みを
読むほうも感じて
いつも涙のダムが決壊するんですよね〜(ToT)


自分も騙すより
騙されるほうがいいし、
どんなに傷ついても
分かり合いたいし、

人を信じる気持ちだけは
失くしたくないって思ってます。


傷つくことを怖れちゃ
何も手にできないし、
自分から
まずは誰かを信じなきゃ、
自分も誰にも
信用されないですもんね(笑)

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