櫻子さんの足下には死体が埋まっている (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2013年2月23日発売)
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本棚登録 : 2369
感想 : 204
4

いやぁ~、まさにキャラミスここにありですね(笑)
最初は携帯小説かと侮っていたけど、
なかなか読ませます(笑)


北海道は旭川の情緒あるモダンなお屋敷に
ばぁやと二人きりで住む
正真正銘のお嬢様、九条櫻子(くじょう・さくらこ)は
傍目には男物の白いワイシャツにジーンズという素っ気ない服装に身を包む
黒髪長髪の長身美人。

しかし、そんな完璧なバックボーンや目を引く美貌とは裏腹に(笑)
その実体は
ヘヴィメタルを愛聴し、
生きている人間より
死んだ生き物の『骨』に恋い焦がれ、耽溺しているという
かなりの変わり者(笑)

骨採取の為、絶えず動物の死骸を探し周り(苦笑)
素っ気ない男言葉で誰彼かまわず毒舌を奮い、
高校生の少年に向かって
自慰や射精についての知識を披露する(笑)
およそ、女性らしくはないキャラに
まずぶっ飛びます(笑)
(ところがどっこい、この櫻子さん、甘いものに目がなく、子供のように唇を尖らせて拗ねてみたり、誰をも骨抜きにするキラースマイルを持ってたりと、所謂ギャップ萌えの要素にも事欠かない魅力を持ってたりするのがミソなのです笑)

そんな櫻子さんに翻弄されながら、
いつも食べ物に釣られ助手を務めるハメになる
平凡な高校生、舘脇正太郎の
未来からの回想というスタイルで綴られていく連作短篇集です。

少年が密かに恋い焦がれていた薬剤師が亡くなった密室事件、
海で見つけた頭蓋骨と心中事件の謎、
秘密の降霊会の裏に潜む一人の男を巡る愛憎劇など、

死体や骨という言葉から
猟奇的な展開を想像してしまいがちだけど、
心配は無用です(笑)

ラノベへの偏見がある人には
あえてオススメはしないけど(笑)、
捻りのあるオチと
法医学の知識もよく調べてるなぁ~って思うくらい感心させられるし、
どの話もどこか物悲しくて
人間の愚かさを上手く描いてます。
(自分はドラマ『ケイゾク』のあの暗いテイストを思い出してしまった笑)

骨の知識やうんちくが書けてるのは勿論だけど、
旭川が舞台なため、北海道に関するあるあるや、道民以外は知らない情報や
ほっぺが落っこちそうな美味しい食べ物が随所に出てくるのも
ちょっとした楽しみがあります。

なんといっても
少年が年上の女性と出会い大人になっていくストーリーは
甘酸っぱくもほろ苦くて
自分の好きなテイストなんですよね~(笑)
(モニカ・ベルッチがまばゆかった『マレーナ』とか、リン・ミンメイと早瀬未沙の間で揺れ動く一条光を描いた初代マクロスとかね笑)

甘ったれで幼い正義感や道徳観しか持たない少年の鼻をへし折ってくれる年上の女性という構図にもニンマリやし、
櫻子さんを異性として意識する禁断の展開もお約束ではあるけど、期待してしまいます(笑)


それにしても姿を現さない櫻子さんの許婚の存在や(笑)
まだ明かされてない正太郎少年と櫻子さんとの出会いの事件も気になるし、
なんやかんやと次巻も読んでまうんやろなぁ(^^;)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2014年5月20日
読了日 : 2014年5月20日
本棚登録日 : 2014年5月20日

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