雪の褥に赤い椿 (二見書房 シャレード文庫)

著者 :
  • 二見書房 (2013年11月25日発売)
3.70
  • (10)
  • (13)
  • (12)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 104
感想 : 7
5

北陸の海辺を舞台にした、幼馴染みへの切なくも純粋な献身愛の物語です。
こんなメロドラマには泣かされまいと頑張りましたが、結局ボロ泣きしてしまいました…

国会議員とその秘書として精力的に活動する矢神と朝加。13年間、矢神への思慕を胸の内に隠し続けて、ひたすら彼のことを想って生きてきた朝加。幼い頃、母とともに大阪から流れてきた朝加は、母親から酷い仕打ちを受け、無理心中までさせられようとしていたところを、老舗旅館の御曹司である矢神に助けられ一命を取りとめた過去があります。
朝加はいつも自分を守ってくれる彼のために生きていこうと、国会議員になった矢神の私設秘書として尽くす決意をします。
しかし、朝加はその選挙活動の際に、卑劣な妨害行為の犠牲になってしまいその時盗まれた情報のせいで矢神を形勢不利な状況に立たせることに。
悔やんだ朝加は、何とかして敵の正体を暴こうとするのですが、その矢先に矢神に縁談が持ち上がって。

ひたすら矢神のことを想う朝加がとても健気で、いじらしくて…
晃ちゃん、といつもは呼んでるんです。そして、一生懸命になるとつい関西弁がでてしまうところもかわいい!
子供時代の場面が、もうかわいそうすぎで思わず涙を誘われます。
母親がものすごい悪女。それなのに、お母さんのことが大好きで大切で、愛してもらいたいと切望している、いたいけな子なんです。
そして矢神にもまた無償の愛を捧げまくります。矢神は、きっと朝加のそんな健気さに胸を突かれたのだろうと思います。

矢神は、何不自由ないお坊ちゃまですが、なかなか頭の切れる男ですよね。わかってないふりで、何もかもお見通しなところがあっていい攻。
頭が良いだけじゃなく、優しさ、思いやりも兼ね備えている男です。
カッコいいけど、けっこう実はガマンしたりぐるぐるしてたんじゃないかと想像。強気なこといろいろ言ってましたが、朝加が自分の身を案じて離れていってしまいそうになると、あらゆる手段で引き戻すあたりがとても頼もしかったです。

ダイスケが、とても重要な役割を果たしていてかわいかった!ダイスケは何度も朝加を救っているし、矢神との絆も深めてあげて、とってもお利口。
2時間ドラマみたいにちゃんと崖シーンが…!
小椋ムクセンセのイラストがぴったりでした。

書き下ろしの小冊子。これがまたよかったです。矢神視点で描かれていて、彼の気持ちが滲み出ています。
かなりボリュームのある内容でした。なぜこれは収録されていなかったのかな?ここまで読んだ方がいろいろ納得できる気がするんですが。
まぁ、ちょっと本編とは違って、晃ちゃんの心情が素!地が出てるというかなんというか…辛抱たまらん感じがダダ漏れw
甘々で胸キュンなのに、なぜかニヤニヤしちゃいました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 華藤えれな
感想投稿日 : 2013年11月28日
読了日 : 2013年11月28日
本棚登録日 : 2013年11月28日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする