ロリータ (新潮文庫)

  • 新潮社 (2006年10月30日発売)
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本棚登録 : 3934
感想 : 329
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若島正さんの講演会があったので、その前に読む。

読んでいる間、そして読み終わってから講演会まで、この小説のどこがすごいのか、あるいはどこが面白いのか、さっぱりわからなかった。
私は本を読むときは完全に登場人物感情移入型で、その次に作者に感情移入型(これには「?」と思われるかもしれないけれど、でも、そうなんです)。基本的にストーリーや世界観、文章のギミックなどには無頓着である。
なので、なんとなくではあるが読む前から「この本は自分にはわからないだろうな」という思いがあった。だから読み終わってもがっかりするわけでもなく、ふーん、やっぱりな、という感じだった。

しかし講演会で若島さんのお話を聞き、「!」がたくさんあって、そのこと自体に私はとても驚いた。
いわく、「度の強い眼鏡をかけているみたい」「ナボコフという眼鏡をかけると小説がよく読める」「ナボコフを読むとは問いを出すということ」e.t.c.
中でも一番「ははー」と頭を下げたくなったのは、問いかけをすると発見がある(素人でも!)というところ。
そっか、私は問いを発していなかったのか、と思った。

自分に合わないと思った小説でも、そこに何が書かれているのかを読み取るとなると、話はまた別。
自分と違う人間が書いたのだから、自分では考えつかないことや自分では表現しようとも思わないことが書いてあることだってあるのだ。それをどう「読む」かは自分次第だし、それに気が付こうとするかしないかもまた、自分次第なのだろう。
「読む」という姿勢を自分に問いかける、とてもいい機会となった。

いやー、それにしても若島先生が大学時代に英語の文芸雑誌を5冊も購読していて、しかもそのほとんどをきちんと読まれていたというお話にはびっくりしました……。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ちがう生き物
感想投稿日 : 2014年2月24日
読了日 : 2014年2月19日
本棚登録日 : 2014年2月19日

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