梅﨑春生『庭の眺め』
スタインベック『白いウズラ』
岡本かの子『金魚撩乱』
スタインベックの作品がとてもよかった。
精神の輝きを悟っている直感的な妻、その妻を愛しつつも理解できない夫。散文と言うよりは、半分詩のような短編として読んだ。
妻の美しさ、その精神的世界は理屈ではなく、それを説明する文章もまた理論的なものではない。しかし、直感的なきらめき、自分でないものを自分の分身として感じとりキャッチする彼女の力には、それだけで不思議な世界観を感じる。
それゆえに、それを理解できないと苦しむ彼女の夫の苦悩がより迫ってきて、とてもよかった。
梅﨑春生の短編は、淡々としつつどこか剣呑な感じがするのが油断できない。アンソロジーの最初の話としてふさわしい。
岡本かの子の話は、私にはあまり入り込めなかった。どうも私は、岡本かの子という作家自体があまり好きではないようだ。
彼女の作品には、独特の「絢爛さ」を感じる。華がある。しかし、どうも私は、その華に魅力を感じないらしい……。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
どこかにあると、まだ信じてる
- 感想投稿日 : 2013年9月1日
- 読了日 : 2013年8月31日
- 本棚登録日 : 2013年8月31日
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