カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1978年7月20日発売)
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感想 : 281
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死の床につくゾシマ神父の回想と垂訓が2部の最後を締めるが、少し長すぎて要点が絞り込めていない。ここでこの大長編を読むのをやめた人は多いと思う。(わたしは二人知っている。)アリョーシャが物語の前面に出てくるが、ドストエフスキー作品中最も人気のあるキャラだけあってやはり好ましい。(ただしわたしはソーニャの方が好きだ。) 天性の人徳と優しさを持ちながら、妙に現実的で、異教徒に対する偏狭さに狂信的なものを感じるときがあるところも魅力だ。
信仰の揺らぎに直面した状態で“カナの婚礼”の説話を聞きながらアリョーシャが霊感を受ける場面はこの作品中で一番渾身の場面だと思う。
ちなみに女性の美徳は男のアリョーシャに独占されているせいか、とんでもない性格の女性ばかりでてくる。悪女の筆頭のようなグルーシェニカだが、彼女が語る“ネギの話”はやはりいい話だ。彼女とドミートリイの乱痴気騒ぎの後、ドラマは法廷へと移る。 わたしはフョードルが気の毒だと思うが彼に同情する読者は少ないだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年7月21日
読了日 : 2020年5月17日
本棚登録日 : 2020年7月21日

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