名探偵カッレくん (岩波少年文庫 121)

  • 岩波書店 (2005年2月16日発売)
3.99
  • (50)
  • (43)
  • (49)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 473
感想 : 61
4

葉村晶シリーズで「カッレくんの冒険」が紹介されていて、読んだことのない児童書だったので手にとってみた。

スウェーデン出身である著者は、「長くつ下のピッピ」の著者でもある。
スウェーデンの作家さんの本を読むのは、初めてかもしれない。
あまり本筋とは関係ないけど、登場人物が税金が高い!と嘆いていて、スウェーデンというのは確かに税金が高くてその代わり社会保障が厚い国だったな、と思い出した。
カッレという名前も、日本語的にはとても呼びにくい名前だ。スウェーデンではよくある名前なのだろうか?

物語は、ポアロなどの「名探偵」に憧れる13歳の少年カッレくんが主人公だ。
カッレは、アンデス、エーヴァ・ロッタというなかよし三人組でいつも遊んでいる。
サーカス団を結成したり、「白バラ軍」と名乗って対立する「赤バラ軍」と戦争したりする遊びだ。
でも、カッレ個人としては、名探偵としての活動(町の不審人物を尾行したり、不審人物リストを作ったりする)をしたくてたまらない。
エーヴァ・ロッタの叔父さんが町にやってきて、その叔父さんに不信を抱いたカッレは、叔父さんの調査をする。
叔父さんの指紋をなんとかして取ろうとするカッレが、私はとても滑稽で、愉快だった。
叔父さんになんとかスタンプ台に指を触らせようとしたり、それができなければ、クロロフォルムを嗅がせて気絶させるしかない・・・と思い詰めるカッレ。叔父さんの罪がなにかすらまだ判明していないのに、この思い込みよう。さすが子どもである。
結果として、カッレの努力は実を結んだけど、事件現場に指紋が残っていなかったらどうなっていたのだろう。
それと、「合鍵」という妙なものも存在する。エイナルおじさんの持っていた「合鍵」を手に入れたカッレだが、この「合鍵」は、地下室のドアでもブリキ缶の鍵でも、どこでも開けることができるのだ。そんな鍵、あり?!

という感じで、探偵小説としては、ご都合主義的。だけど、けっこう楽しめた。
カッレくんは13歳ということは、大体中学1年生くらいだろうか。
現代の13歳と比べると、遊びの内容とか、思い込みようとか、「幼いなぁ」と思ったけど、それも含めてかわいいと思った。
今は昔(この本が日本で発行されたのは1957年だ)とくらべて、子どもが子どもでいられる期間が短くなってしまったのだろうか。それとも、お国柄だろうか。

「悪事は損だ!正直が一番長もちする。」というのは名言だ。
時代も国も関係なく、世の中、そうあるべきだよね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 児童文学
感想投稿日 : 2022年8月21日
読了日 : 2022年8月21日
本棚登録日 : 2022年7月10日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする