ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

  • 早川書房 (2005年9月22日発売)
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感想 : 77
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順列都市が私達の精神がデータ化されるまで、また自律するAIが誕生するまでの話だとしたら、これはデータ化された私達が幾重にも別れて(データ化されているので、クローンを生み出すのは簡単です)さまざまな宇宙に拡散し、探索をするさらに未来のお話でした(根源的には、未来の滅びを避けるための手がかりを探索の目的にしています)。
私達が気づいていないだけで、私達の生きる空間はトランスミューターのような存在とは既に繋がっているのかも。トランスミューターが進化の果てに獲得したのが、あらゆるものに干渉しすぎない「自制」の力であったことがとても印象的でした。
3次元以上の世界って想像するのが難しいですが、かなりイメージが掻き立てられます。
あと、主人公のヤチマのようにマイペースに生きることは辛くなく生きるコツなのかなと思いました。イノシロウ、オーランド、パオロ…様々な人物の末路が描かれますが、自分の中に生きることの答えを見出したヤチマの行き方は最も自分自身という存在にとって幸福なことのように思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年5月6日
読了日 : 2021年5月6日
本棚登録日 : 2021年2月21日

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