デカルト入門 (ちくま新書 589)

著者 :
  • 筑摩書房 (2006年4月10日発売)
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感想 : 21
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我思う、ゆえに我あり
「コギト・エルゴ・スム(cogito,ergo sum)」

この有名な言葉から、連想していた思想観とは、
全く異なった思想の持ち主であることを知った。

デカルトは、数学的、物理学的見識から、「最高に能力のある者」として神の存在を位置づけ、「神の誠実性」から「人間の明晰性」導き出した。
完全である神が、欺く人間を創ろうとするはずがない、ということらしい。

では何故、人間は誤りを犯しうるのか?
明晰に判断しうる能力を持ちながらも、不完全な思索、早合点によって誤りを犯すのだという。

「人間知性の有限性は、創造された人間知性の本質であるから、そのことに関して、創造者に不平を言うべきでない。」とも言っているらしい。

ん~、納得はいかないが・・・
「普遍的懐疑」から理論を構築しようとしたデカルトが、「慎重に思索を重ねれば、真なる答えを導くことは可能」と言っているのは、おもしろい。

物理学者として、多くの偉大な発見を成したデカルトも、全てが正しかったわけではない。だが、その誤りも後の科学者によって正されることになる。
有限な個人による誤りも、人類という大きな枠を以てすれば、いずれは真なる答えに辿りつけるはずだ、という解釈をすればいいのかも。

完全なる唯一神というのは、プラトン的な神に似ている気がする。
また、宇宙は神による創造としながらも、創造後の神による干渉は想定していないらしい。これは、現代的な感じもするかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学
感想投稿日 : 2010年10月21日
読了日 : 2010年10月21日
本棚登録日 : 2010年10月11日

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