内容には没入しスラスラ読めたにも関わらず、理解がなかなか難しいという、その対比が珍しい本であった…。
最初に、説明されてない過去の事象を簡潔に語り、読者に「ん?なんのことだ?」と思わせてから、詳細にその出来事の叙述に入るのは、単に英語(結論を先に言う言語)が原作だからなのか、これがカズオ・イシグロの独特の文体だからなのか、よくわからず。
最後に怒涛に物語が終結したが、「ふーーむ….??」という感想。巻末の古川日出男さんの解説で、なんとなく理解したような気になる。
ただ、全ての描写が詳細で、前半のノスタルジックな子供時代の上海の描写も、戦闘が行われている大人時代の上海の描写も、あたかも今自分の目の前に世界が広がっているかのようであった。
掴もうとしても掴めない小説であったにも関わらず、またカズオ・イシグロの別の作品が読みたくなってしまう、なんだか中毒性のある作家さんだなぁ、と。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説(海外)
- 感想投稿日 : 2023年4月17日
- 読了日 : 2023年4月17日
- 本棚登録日 : 2023年4月6日
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