わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫 イ 1-3)

  • 早川書房 (2006年3月31日発売)
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本棚登録 : 1922
感想 : 186
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内容には没入しスラスラ読めたにも関わらず、理解がなかなか難しいという、その対比が珍しい本であった…。

最初に、説明されてない過去の事象を簡潔に語り、読者に「ん?なんのことだ?」と思わせてから、詳細にその出来事の叙述に入るのは、単に英語(結論を先に言う言語)が原作だからなのか、これがカズオ・イシグロの独特の文体だからなのか、よくわからず。

最後に怒涛に物語が終結したが、「ふーーむ….??」という感想。巻末の古川日出男さんの解説で、なんとなく理解したような気になる。

ただ、全ての描写が詳細で、前半のノスタルジックな子供時代の上海の描写も、戦闘が行われている大人時代の上海の描写も、あたかも今自分の目の前に世界が広がっているかのようであった。

掴もうとしても掴めない小説であったにも関わらず、またカズオ・イシグロの別の作品が読みたくなってしまう、なんだか中毒性のある作家さんだなぁ、と。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(海外)
感想投稿日 : 2023年4月17日
読了日 : 2023年4月17日
本棚登録日 : 2023年4月6日

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