オランダ、ドイツ、ハワイなど外国を舞台にした7編。旅行や仕事で訪れた異国の地を歩き、すれちがう人々と言葉を交わすうちに繊細に変化してゆく感情の揺れを描いている。
旅行直前に亡くなってしまった妻を想いながらひとりスペインへ旅立ったはいいものの、ただ広場でぼんやりしているだけだった夫。しかし少しずつ前を向き、そして妻が付箋を貼ったガイドブック片手に動き出す『南へ・・・!』。
そばにいるはずの人がいない喪失感がやがて、いつもそばにいるんだと感じるようになる変化は「現実を受け入れる」というような諦め交じりのものではなく、もっとポジティブなものとして描かれていて印象に残った。
ハワイでかつての同級生を訪ねる『永遠の一日』も、日本が舞台ではなかなか書けない話でスカッと気持ちがいい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
現代
- 感想投稿日 : 2014年8月29日
- 読了日 : 2014年8月
- 本棚登録日 : 2014年7月18日
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