オーダーメイド殺人クラブ

著者 :
  • 集英社 (2011年5月26日発売)
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本棚登録 : 3817
感想 : 688
5

青年期の孤独感や希死念慮を感じたことがある人、自分のことを誰かに理解してほしいと感じたことがある人におすすめです。

この本をアンの歳の頃に読まなくてよかったと思いました。
読んでいたら、私も少年Aや少女Aに憧れてしまっていたのかもしれない。
アンが徳川を見つけた時みたいに、この本のことを理解者だと思い込んでしまっていたかもしれない。
そのくらいの危うさを孕んだ作品だと感じました。

ラストスパートは、わだかまりがだんだんとほぐれ、昇華されていく爽快感や高揚感で読む手が止まらなくなりました。「事件」はある意味成功したんじゃないでしょうか。

目線がコロコロ変わって今何を表していたのか分からなかった部分が所々にあったので、その辺の表現力の部分で星4の評価。(辻村さんの作品が初めてだったが故に読み慣れていなかったということもありますが。)⇒訂正。時間が経つにつれやはりすごく心に残る作品だと気づいたので星5にします。

未熟者たちの初々しさや青臭さが文章から漂ってきて、アンたちの感情描写は見事で、心にダイレクトに響いてきて、読み終わってから、登場人物たち全員が愛しく感じられました。
辻村深月さんの作品をもっと読んでみたくなりました。


以下、読書メモ

流れに逆らいたい、私はほんとはこうなのに、私はここにいるのに、他の子とは全然違うんだから一緒にしないで、世界はここまでしかないんだという絶望感、無力感。

何も知らないが故になんでもできるし、やらなきゃいけないことよりも、やらない方がいいことに目が向いてしまう。
大事なものになかなか気づけない、自分を見つけてくれている人に気づけない。

好きな一節
「嫌なことがあったり、自分を不幸だと感じる時ほど、世界が美しく感じるのは、何故だろうか」

(文庫版の方で登録してしまっていたので登録し直して再掲。3.24読了)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年5月3日
読了日 : 2022年3月24日
本棚登録日 : 2022年5月3日

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