時は明治。司法大臣を父にもつ新聞記者・高広と、美しいが高飛車で変わり者の絵師・礼が織り成す帝都探偵奇譚。
ミステリーというほどではない謎解きものだけれど、明治という時代を美しく情景的に描写してある文章にひきこまれます。
最初は設定からして、礼がホームズ役、高広がワトソン役かと思っていたら、逆だというのにはちょっとビックリした。
礼はノリノリで話を聞いてくびをつっこむのに推理は高広にまかせている自称ワトソンだし、高広は自分に自信がないせいか推理をするにも弱気だしそれを告げるときもかなり弱々しい。でもそれが、よくある推理モノでホームズ役とワトソン役がいるコンビの話とはまた違って、この作者のふんわりとした描写に合っていてよかったと思う。
謎はあまり深くない話の短編集だけれど、今後はロータスというエキセントリックな存在との対決でドキドキ感も味わえるのではないかしら。
読書状況:読み終わった
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作家名 ま行
- 感想投稿日 : 2015年12月31日
- 読了日 : 2013年9月15日
- 本棚登録日 : 2015年11月30日
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