最初に読んだのは新刊として出てすぐのころだったが、思うところあって再読。絶版になっているのは残念だが、ウィーン・フィルやベルリン・フィルの状況は現在ではかなり違ってきているところもあるだろうから、再版しにくいのかも知らん。
本当におもしろいのは、オーケストラの「裏方さん」たち(国内外両方)のお話。マエストロ岩城が彼らのことをコンサートの実現のために欠かせないプロとして、本当に敬愛していたのだなぁとしみじみする。
ハープのモルナール氏の若き日のことも書かれてた。この人、そんなに若いときに来日したのか…日本のどこかがそんなに気に入ったのか。ハープの運送業者というのがなかった当時(ハープといってもどんな楽器か知らない人のほうが多かったとか)、モルナール氏の依頼をなりゆきで引き受けちゃった町の引越しやさんが、ハンモックのようにハープを吊って荷台に載せ、びよんびよん弾むのをモルナール氏が必死に押さえてたというエピソードは必笑!この引越しやさんは、モルナール氏との縁ですっかりハープの運び屋さんになってしまったという。いま検索してみると、立派なウェブサイトがあって、ちゃんと業務内容の筆頭に「楽器運送」とある(笑)
よく知られた話なのかもしれないが、岩城氏の軽妙な文章から、元気はつらつな人柄もしのばれて楽しい。いい本です。
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- 感想投稿日 : 2014年7月28日
- 本棚登録日 : 2014年7月28日
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