やさしい訴え (文春文庫 お 17-2)

著者 :
  • 文藝春秋 (2004年10月8日発売)
3.53
  • (84)
  • (134)
  • (238)
  • (23)
  • (10)
本棚登録 : 1457
感想 : 152
3

この静かで残酷な世界に浸りました。
新田さんと薫さんの完璧に閉じられた世界に入り込んだ瑠璃子さんの、感情をふたりにぶつける様は痛々しいものがありましたが、彼女を嫌いになれるはずがありませんでした。
皆、心に抱いた傷をこの森で癒していて、瑠璃子さんがただ少し早く癒されただけだと思いました。
新田さんと薫さんの日々が、これからもずっと永遠に続いていきそうだなとわたしも感じました。
お話の筋とは離れていると思いますが、カリグラフィーの先生の言葉が心に響きました。「それ、謙遜のつもり?自分の能力を低く見積もっておいた方が、あとで楽ですもんね。」「できないと思ったらできないの。できると思ったら何とかなるの。そう考えると世の中なんて単純よ。」
「やさしい訴え」を聴いてみましたが、綺麗な曲でした。チェンバロの音色は密やかで好きでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2018年2月15日
読了日 : 2018年2月15日
本棚登録日 : 2017年4月16日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする