重力ピエロ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2006年6月28日発売)
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感想 : 4257
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物語自体は面白く、最後は結末がどうなるのか知りたくて一気に読み進めてしまった。言葉の選び方や歴史上の人物の引用も本当に面白い。

ただ、春が殺人をし、それを「悪いけど良いこと」とするのはどうしても納得がいかなかった。レイプはもちろん絶対に許せないことだし、そのレイプにより生を受けた春の苦悩は理解できる。
また、葛城はレイプを反省しておらず、最低な人間だ。

ただ、最低な人間で恨みがあるからといって殺していいのか?または、複数レイプをし、その時点で反省していない最低な人間であれば殺していいのか?
春のセリフの中で、「自分が犯した罪の程度には罰せられるべき」という内容があったが、葛城は殺人をしていない。そこにも矛盾がある。

最低な人間であっても、その親もいれば、友人もいるのだ。殺人をしていない人間を殺す(死刑になる)のは個人的にはどうしても納得がいかない。

家族愛のある面白い話だと思ったが、残念だった。
(葛城を殺しさえしなければ、共感できた)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年10月20日
読了日 : 2020年10月20日
本棚登録日 : 2020年10月10日

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