ポトスライムの舟 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2011年4月15日発売)
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本棚登録 : 3198
感想 : 373
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帯の「社会人必読!」の言葉に操られるように購入。

「圧倒的な共感」という言葉の通り、ナガセのつぶやきもツガワの絶望もびっくりするくらい生々しい。
分かりたくないけど分かるなぁと思う。
私なんてぼけっと仕事して、ほぼ定時に退社して、たまに先輩と飲んで笑っていられるんだから恵まれているはずだろうと思った。
でも、その場にいるその人にしか分からない苦しさとか、むなしさとかがあるんだよなぁ‥。
表面的な話だけ聞いて、あの人の方が苦しいとか楽だとか言えるわけじゃない。
私が無理だと思ったら、他の誰がなんと言おうと無理なんだってこと。
ジャッジ出来るのはその場にいる唯一人だけだってことをすごく思い知らされた。

「ポトスライムの舟」も「十二月の窓辺」も読後感は悪くない。
どちらの物語も現実を現実以上に良くも描いていないし、悪くも描いていない。
そんな中で疲弊しながらも前を向いて歩いている主人公の2人に励まされる。
特に「十二月の窓辺」のツガワが一歩踏み出せた姿にほっとする。
誰とも違う私の苦しさを必要以上に大きくする必要がないことを悟る。

やっぱりこれは「社会人必読!」かもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年3月24日
読了日 : 2013年3月24日
本棚登録日 : 2013年3月24日

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