幼いころから何度も聞いた「静助さん」の話を突然自分も語りたくなったから書くことにしたのだというなんとも不思議な書き出しから始まる物語。
「静助さん」て誰なのか?
語りたくなるとはどういうことなのか?
いろんなはてなを抱えながら読み始めたけれど、いつの間にか温かい物語にくるまり、そんなことはどうでもよくなってしまった。
ただみんな「静助さん」が好きなんだということしか分からない。
きっとそれが全てなんだと思う。
読み終えた今、私も「静助さん」のファンの1人になってしまったのだから。
生き方に正解なんてあるのだろうか?
たぶん「静助さん」の生き方は正解ではなかったんだろうと思う。なんとなくだけど。
でも、こんな風に生きられたらなぁと憧れてしまう。
生き方そのものにというより、その心持ちに。
執着しない清々しさと濁ることのない純粋さ、そして確かに感じる温かさ。
まるで夏休みの中みたいな世界。
夏休みはいつか終わってしまう。
だけどそのきらめきを忘れることはなくて、何度も何度も思い出す。
少なくとも私にとってはいまだに夏休みの記憶は特別だ。
強引だけど、語り手やその一族にとって「静助さん」もきっとそんな存在なんじゃないか。
夏休みのようなきらめきを持った記憶なんじゃないかと思う。
この物語がそうであるように。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年3月6日
- 読了日 : 2016年3月6日
- 本棚登録日 : 2016年3月6日
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