主人公は寒がりの新井和也くん。
「待ちに待った春の始まり」を「遠距離恋愛の彼女みたいな四月」、秋の気配を感じる九月を「最愛の恋人が去ってゆくようなやりきれなさに襲われる、そんな季節だ」と表現する彼。
もう、本当にその通り!と彼の手をとってブンブン振り回したくなる。
寒がりでお洒落じゃない東京都民という点で新井くんを他人と思えない私としては(新井くんからしたら迷惑極まりない話だろうけど)、さらに彼が優しくて働き者なのもとても嬉しくて、ますます応援に力が入ってしまう。
突然実家のアライクリーニング店で働くことになった新井くんは、困っている人が寄ってくるという天性の素質(?)をフル活用し、頼れるクリーニング屋さんに成長していくのだ。
実際の謎を鮮やかに解いているのは友達の沢田くんなのだけど、困っている人を助けているのは新井くんだと私には思える。
「それに多少お金がかかったって、新井くんが来てくれる方がいいし」なんて言われちゃうんだもん。シチュエーションが違ったら告白にしか聞こえないよ、この台詞は。
そして新井くんのお客さんに対する気遣いは、クリーニング店という仕事にとって1番重要なこと。
使われている生地と汚れの原因を明らかにして最適な方法で洗うことと、相手がどんな人で何に悩んでいるのかを明らかにしてその人のこれからを一緒に考えることはとても近い。
彼の天職と言ってしまっていいのではないか。
これから新井くんがアライクリーニング店でどんな風に成長していくのかとても気になる。
それと寒さを克服する日が来るのかも。
解説で待たせ過ぎと指摘されているシリーズ第二弾を私も楽しみに待ちたいと思う。
- 感想投稿日 : 2013年2月24日
- 読了日 : 2013年2月24日
- 本棚登録日 : 2013年2月24日
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