ぼくらの (6) (IKKI COMIX)

著者 :
  • 小学館 (2006年12月26日発売)
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地球の、宇宙の生き残りをかけて襲い来る敵と戦う。
勝てば、相手の次元の地球(宇宙)が滅び、負ければ、自分たちの次元の地球(宇宙)が消滅する。
戦いが終わったら、勝っても負けても、パイロットは死ぬ。

ここまで、少年少女のいろいろな戦いと死を見てきて、もし自分だったら、地球を救うためとはいえ、自分の手で誰かを殺めるくらいなら死んだほうがましだ、とか思っちゃうかもしれない…とぼんやり思い始めていた。

だから、キリエの「自分たちが生き残るべきかわからない」「自分は正義かもしれないけど、相手も正義かもしれない」という考えはすごく理解できたし、偽善的と言われるかもしれないけれど共感した。


「あなたは好むと好まざるとにかかわらず、もうすでに生命の犠牲の上にある」
だからその犠牲に感謝し、精一杯自分のすることをするのが、生きていくものの責任。
それが生きるということ。

自分でもまだうまく消化できていないのだけれど、田中さんの言葉はそういう「死んでもいい」という甘い偽善をひっくり返した。私たちは生きていることがそれだけでもう生き残りのための犠牲を強いられているシビアな運命だったんだなあ、と。難しいけれど、確かにそうだ。
個人的な戦いをしてきた今までの子供たちとは一味違い、そもそも「どうして戦わなくてはならないのか?」にひとつの決着をつけてくれたエピソードだと思う。

続いてコモの話。
死ぬとわかってから世界の美しさや世界とのつながりを実感し、世界が豊かになったと感じるコモ。
敵のパイロットの逃亡、一般被害者からの恨みを思い知らされる子供たち。自分たちの背負っているものの重さ、戦いに向けられる非難の目の厳しさ。

改めて話の運び方というか展開構成がうまいなあ。

コエムシの転送の説明は、面白いけど、なんというかPC上のデータの話みたいだなあと、いまいち三次元で起こりうるのか疑問に感じてしまう。
佐々見さんだんだんなじんできたな。
大人たちが登場したときは子供たちの行動を阻害したり支配しようとしたりするのかと思っていたけれど、予想外に子どもを尊重してくれるいい大人たちだった。今後どうなるのかな。。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2013年4月11日
読了日 : 2013年4月10日
本棚登録日 : 2013年4月10日

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