思い、思われ、ふり、ふられ 2 (マーガレットコミックス)

著者 :
  • 集英社 (2016年2月25日発売)
3.88
  • (29)
  • (38)
  • (32)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 883
感想 : 24
4

第1巻ラストにて明かされた衝撃の事実を認める理央。ただでさえややこしい事になりそうな人間関係が一段と複雑になる裏事情が明かされたね……
告白しようと思っていたのにその告白を外的要因によって許されなくなってしまった理央。おまけに朱里の態度は真剣に自分と家族になろうとしていると判る。そこに恋愛感情が入り込む余地など無いと理解させられる
そういった意味では朱里と理央は恋愛観が似たタイプであるように見えていたけど、根っこにある動機が大きく違うのか

この巻では由奈の視点で展開するシーンが多く、必然的に理央の内面や性格について描かれるシーンも多かったね
理央を見ている由奈が描かれ、そして理央の良い所が描かれることで、由奈の好きという気持ちが収まらなくなり告白に至ってしまう展開を自然に受け入れられるようになっているね
でも、一方で理央に告白した由奈の動機が単純に自分の感情を抑えきれなくなったからというだけに留まらず、理央を支えたいというあまりにも綺麗過ぎる善意によって為されるというのは驚かされる。苦しい気持ちを話せる友だちになりたいから振られる為に告白するって……
理央は断るしか無かったけど、メンクイであると自覚する彼の心を変えるにはこれ以上の告白はなかっただろうね

理央に告白してみせた由奈の勇気は朱里にも影響したようで。一転して朱里の周囲が描かれるように
朱里が過去に憧れの感情を寄せていた瑛士、朱里と理央の複雑な関係を平然と受け入れる和臣
瑛士がどのような人間であるかそれほど描かれないけど、二人が朱里に与えた影響が対極に近い点は伝わってくるね

ここではない何処か、知らない世界へ連れてってくれそうな雰囲気を纏っていた瑛士の存在は閉塞感を覚えていた頃の朱里にとってキラキラした存在。由奈の影響で新しい世界に踏み出してみたくなった朱里が思わず会いたくなってしまう相手
けれど、既に朱里は新しい世界に踏み出し始めているから、昔キラキラしていた存在に今になって焦がれるなんて事はないんだよね

対して和臣は「『ここではないどこか』なんてないしね」「その『どこか』も着いた瞬間『ここ』になっちゃう」なんて朱里が想像もしていなかったような考えを話す。
和臣の存在は朱里に遠い場所を見させるのではなく、近くに居る存在を意識させるきっかけとなる。
和臣の態度に対して「始まりの合図じゃないんでしょ?」とじれる朱里。「相手と自分の気持が一致してるなって分かるまで」告白しない朱里にとって、和臣の気持ちを気にするということは朱里の方は和臣にかなり惚れてるってことなんだろうね

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ
感想投稿日 : 2021年2月24日
読了日 : 2021年2月23日
本棚登録日 : 2021年2月23日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする