鍋の中 (文春文庫 む 6-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (1990年8月1日発売)
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本棚登録 : 80
感想 : 14
4

再読…の筈なのだが、相当昔に読んだこともあってか、収録4篇中「水中の声」「盟友」は読んだ記憶が全く残ってない。これでは60年前の記憶が抜け落ちている「鍋の中」のお婆さんより余程酷い。
千野帽子氏が「鍋の中」と「第七官界彷徨」の共通点について思いつきって感じで書いていたが、「すると音の欠けたオルガンの曲だがなにしろ『のばら』の終章の部分だったので、緑色の唐辛子はまるで物哀しい雰囲気に満ちて、鍋の鶏肉の上へと降りそそいでいったのだった。」なんてくだりは、(尾崎翠全集の付録に村田さんが一文を寄せていたこともあって)何となく「第七官界―」を想起させるようにも思う。
「鍋の中」はやっぱり村田さんの原点というか、村田さんの数々の小説の要素や素材が煮込まれている作品だなあと感じる。
これにて単行本化された村田さんの小説作品を全て読み終えた(筈)。満足感と共に読み終えてしまってほんの少し残念な気持ちも。未読だったエッセイを読もうか思案中。来月刊行予定の『飛族』が待ち遠しい

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年2月16日
読了日 : 2019年2月16日
本棚登録日 : 2019年2月16日

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