重い題材を扱いながら、軽薄にも流れず、しかしながらコミカルな娯楽性も失わない素晴らしくバランスの良い映画。所作の様式美はやはり三息の呼吸にあるんだなとあらためてかんじる。ひと所作毎に雪がれていくようなさまを、もっくんがみごとに演じている。部分的とはいえ、チェロの運指も全く違和感ない素晴らしさだ。「コンペティション」のR・ドレイファス以来かもしれない。
遺体に触れた手で抱かれることへの生理的な抵抗感を覚える広末が、妊娠したからと舞い戻るあたりは、やや、理解しかねた。世間体への覚悟レベルに解消し得ない根深い感覚がそこには隠喩されているわけだから。。、
とはいえ、本作では、滝田監督のバランス感覚をかう。あと、撮影、照明が素晴らしいです。
この映画は、葬儀から帰ってきたときに家に入る前にやる清め塩を、リアリティをもって感じられる世代にはその重たさがわかると思う。逆に清め塩?何それ?という若い方には、広末や杉本哲太のあの忌避ぶりは理解できないかも。それはいいこたなのかもしれないが。。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
映画(邦画)
- 感想投稿日 : 2020年8月22日
- 読了日 : 2020年8月22日
- 本棚登録日 : 2020年8月22日
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