教育の力 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2014年3月19日発売)
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感想 : 64

まずは自分の力を信じること。とりあえず根拠はなくてもいい。まず、自己を承認できなければ、他者を承認することなどできない。ルサンチマンだけになってしまう。他者を承認することで、他者からも承認されるようになる。自己承認できる人に育てるには、親が子を信頼しなければいけない。心配ではあるだろうが、信頼して成長を見守ってあげないといけない。何度も裏切られるかもしれない。それでも、信じていれば、いつかきっと期待に応えてくれるはず。期待し過ぎは良くないけれど、期待して待ってあげてほしい。自分が最近考えていることにひきつけて読んでしまっているので、著者が言いたいことから離れているかもしれない。ひとりよがりな読み方は良くないのだろうが、まあこういう受けとめ方をした人がいるということでお許し願いたい。私の教育理念は「一生学び続ける人を育てる」ということ。そのために、小中学生の間に一生ものの「学び方」を学んでほしい。学ぶこと自体を楽しいと感じてほしい。楽しいことは続けられるから、学び続けられるようになると思う。そんな思いで、30年以上働いてきた。「個別化」「協同化」「プロジェクト化」という部分では、いまのところほとんどあてはまることはしていない。けれど、総合学習であったり、探究でやっていたりするようなことを自分もしてみたいとは思っている。定年退職後、偏差値から離れた世界で何ができるかを考えていきたい。それから、超ディベート、これも楽しそうである。「問い方のマジック」に陥らないようにして、共通了解を得られるようにもっていく。これって、ドラマ「女神の教室」でやっていた民事裁判における示談と同じことだろうか。落としどころを見つけ出す。「子どもたちに民主主義を教えよう」で言っていたことでもある。それぞれに、いろいろな思惑があって、いろいろと意見が出るわけだけれど、それぞれの考えをよく聞き、熟議し、なるべくみんなが納得いくより良い解を見つけていく。民主主義の基本なわけで、これが著者がいつも言っている「自由の相互承認」ということでもあるのだろう。本書はTwitterで見つけて、電子書籍ならちょっと安くなっているということで、少し古くはあるが購入してスマホで読んでみた。最近、ずっと苫野さんのVoicyでの解説も聴いているので、読んだことだか聴いたことだかわからない部分はあるのだが、だいたい上のようなことを感じている。以前は自分より若い人の書いたものを読むことは少なかったのだが、自分も歳をとってそんなことは言っていられなくなった。自分の書いているブクログのカテゴリに入れている著者名としては、池谷裕二、中島岳志、國分功一郎、伊藤亜紗、苫野一徳あたりが自分より若い人たちだ。だれの言っていることを自分の中に受け入れていくか、誰を信用するか、その嗅覚のようなものを育てることも教育の中では重要な位置を占めるのではないかと思う。以前は森毅だったし、いまの一番は養老孟司、それから内田樹というところ。自分ですべての一次資料に目を通して、自分なりの考えを持つということは難しい。だからこそ、信頼に値する人を見つけておかないといけない。そんなことを、6年生の最後の授業で語った。みんな、意味わかってくれたかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 苫野一徳
感想投稿日 : 2023年2月3日
読了日 : 2023年2月3日
本棚登録日 : 2023年2月3日

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