生の暴発、死の誘惑: 「生きがい」を見失うとき (中公新書ラクレ 364)

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  • 中央公論新社 (2010年10月1日発売)
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感想 : 6
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生と死。エロスとタナトス。奥深いこの1枚のコインの両面は、とりわけ多くの人を引きつけて離さない。一生かかっても解けない問いであるにもかかわらず、それでも考えさせることを強いてくる。『優しい心は救いである。しかし、強くなければ生き残れない』というこの言葉には、人が何ゆえ死へと誘われるかのその多くがちらついているように思う。無意識に生きるも、生きようとするのも、生きたいと願うのも、死に誘発されるのも、死を遠ざけるのも、すべてが心のままだとしたら悲しすぎる。目に見えるものと違って、人の心を気づかせてくれる術はなく、またその暇さえも与えてくれないのだから。できることなら、今はそっとそういった人の心に寄り添いたい。穏やかな境地は、とても崇高で美しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人生
感想投稿日 : 2011年4月4日
読了日 : 2011年4月4日
本棚登録日 : 2011年4月4日

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