中学二年生の淑子は、おじいちゃんとおばあちゃんが営むうどん屋で手伝いをしている。
うどん屋は、14年前に『長寿庵』から『峠うどん』に名前を変えた。
目の前に、市営の斎場ができたからである。
淑子の両親は小学校の教師だ。
二人は…特に父親は、淑子が峠うどんを手伝うことを苦々しく思っている。
中学生は勉強をするものだと思っているし、斎場帰りのお客がほとんどという特殊な空間に若い娘を置くのも良くないとも思っている。
淑子を教師にしたいお父さんと、うどん屋を継いでほしいおばあちゃんの間で、淑子はただただ、うどん屋の手伝いが好きで出かけていく。
お葬式やお通夜では、身内や近しい人には精進落としがふるまわれるから、うどん屋に来るのはその周辺の人たち。
すぐには帰り難い、様々な思いを抱えてのれんをくぐるのだ。
第一章 『かけ、のち月見』
急なお通夜が二つ入ったので手伝いに来て欲しい、とおばあちゃん。
何と一件はお父さんの昔の同級生、もう一軒はクラスメイトのハトコ。
二人とも、「顔も思い出せないし、お通夜なんてめんどうくさいなあ」と、似たようなことを言っている。
第二章 『二丁目時代』
お母さんの少女時代。
罪を犯した男に、子供たちの複雑な思い。
第三章 『おくる言葉』
転出する先生のお別れ会でお礼の言葉を読む係に選ばれてしまった。
習ったこともない、数カ月もいなかった代理教員の若い女の先生。
さすがの淑子も困った。
第四章 『トクさんの花道』
長年、霊柩車の運転手を続けてきたトクさん。
いいお葬式かそうでないかは、扉を閉める時の重さで分かるという。
第五章 『メメモン』
小六担任のお父さんのクラスの子が、夏休みの自由研究でお葬式を見学したいという。
そして、うどん屋でお昼を食べる場所を提供し、淑子にも見学のサポートをしてやってくれと。
提案した、宮本さんという女の子は、真面目で頭のよい子らしい。
その非常識さに、淑子もおばあちゃんも目をむくが…
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お葬式も本も、「泣くことがベストでマスト」ではない、と私は思います。
- 感想投稿日 : 2017年6月27日
- 読了日 : 2017年6月27日
- 本棚登録日 : 2017年6月27日
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