鴨川食堂おまかせ (小学館文庫 か 38-4)

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  • 小学館 (2017年1月6日発売)
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感想 : 55
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お父ちゃんと娘が思い出の食を再現する、「鴨川食堂」第4弾。
今回も、何ということは無いお馴染のメニューが並ぶが、お客さんもいろいろ、そして、料理人の人生にもいろいろあるのだと思った。
相変わらず親子の仲の良さが微笑ましい。
初来店時に出される「おまかせ」料理が美味しそうすぎて、悶絶。
探し出された料理は、明日へ踏み出す背中を押す。

第一話『味噌汁』
父の悲しい体験から、弁護士を目指すようになった青年。
なかなか司法試験に受からず、故郷にも帰り難く、しかし望郷の思いも募る。
故郷を旅立った日の朝を、味噌汁とともに思い出す。

第二話『おにぎり』
約束のおにぎり。
4年待ちました。
とても哀しいが、しみじみと良かった。

第三話『豚のしょうが焼き』
このお客は、しょうがない豚野郎ですね!
おっと失礼!
すぐに怒りが態度に出てお父ちゃんに叱られる直情型のこいし、「忘れたふり」が武器の老練なおとうちゃん。
読者はニヤリとする。

第四話『冷やし中華』
このお客もちょっといけすかなかった。
久々登場の妙さんと火花を散らす。
高齢の父親が食べたがっている冷やし中華に、複雑な過去の思い出。
記憶の底に眠る意匠。

第五話『から揚げ』
仕事に行き詰って懐かしむ、青春の日のから揚げ。
これは、食の謎が解けてからが山場だった。
何を食べさせるか以上に大切なのは、どういう気持ちで食べさせるか。

第六話『マカロニグラタン』
身から出たさびで息子と会えなくなる。
マカロニグラタンは二人の共通の思い出になったのだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年5月4日
読了日 : 2017年5月4日
本棚登録日 : 2017年5月4日

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