ふと手に取ると最後まで夢中で読んでしまう。子どもの頃は1割も理解できず、印象的なシーンしか見ていなかった。イスをひっくり返してメーヴェに仕立てたり胞子を瓶に入れる真似をしたり、幼稚園に入る前の有り余る時間の多くをナウシカごっこに費やしたのを思い出す。大人になってから改めて読み、感動し、何度でも繰り返し読みたくなるからついにセットで買った。
特に最終巻はおすすめ。これぞカタルシス。宮崎駿の思想が凝縮されていて、人に対して、命に対しての作者の思いがナウシカの言葉の端々から伝わる。ユパさまの最期、クシャナの変化、オーマの生き様、墓とナウシカの問答、ナウシカを取り巻く人々のつながり、思わず涙腺が熱くなる。
ハウルのあのシーンやらラピュタのあの物体やら、後年ジブリ作品で見られる描写と重なる表現があちこちに見られるのも面白い。宮崎駿はナウシカを通して、自分が抱えている全ての観念をほとんど表現し尽くしたんじゃないかとさえ感じる。あれこれ多方面に手を出さずナウシカ全編を映画化できればいいのにと、単純にナウシカファンとしてはずっと思っている。
これだけ壮大なテーマなのに、突っ走った挙句収拾がきかなくなったり広げた風呂敷をたたみきれずに尻すぼみになったりなんてしない。クライマックス直後にきっぱりと閉幕。凄い。
百年経っても、きっと残って読み継がれていると思う。
読書状況:読み終わった
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テレビを消す
- 感想投稿日 : 2018年11月30日
- 読了日 : 2018年12月1日
- 本棚登録日 : 2018年11月30日
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