おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年6月22日発売)
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感想 : 441
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映画がよかったので、小説も買ってみました。

映画を観てから小説を読んだのでよかったかな、と思います。

やはり、この作品をもっとも味わうには、あのアニメなのだと、読んだあとで再確認しました。



おおかみおとこに恋をした花。

ふたりの間に生まれたおおかみこどもの雨と雪を、女手ひとつで育てます。

おおかみと人間、それぞれの生き方を子どもたちが選択できるように。

誰にも言えず、おおかみおとこが育った土地で。



この小説だけだと、少しさらっとしすぎていて、物足りなさを感じるのではないでしょうか。

ストーリー中の葛藤や重々しさが、もっと際立っていてもいいような気もします。

読みやすく、映画のストーリーをなぞるように、副読本みたいな存在で、読めました。



楽しかったのは、登場人物の心情などが直接ことばで表現されている部分があることです。

映画だとただ画面や動作だけで心情を表現している部分などがありますが、

小説という形で登場人物の内面を表現されていると、

また違った深みをもって映画をみられそうです。



自分の望むように生きてほしいと、そう願いながらも、

親は子どものことが心配になります。

自分が守ってあげねば、と。

おおかみこどもは、自分が経験したことのない葛藤を抱えていますし、成長するのも人間のスピードと違います。

子どもが、その子らしい道を歩み始めれば歩み始めるほど、苦しくなります。

子どもも、自然も、自分の世界を超えたところにありますからね。



葛藤をかかえながらも、たくましく生きる花のしなやかさに、こころがじーんとなる作品でした。

さわやかな表現で読みやすくてよいです。

が、やはり、アニメの方をおすすめしたいですね。世界観の表現の深さがまったく違いますから。


“世界は、私の知らない事柄で満ちている-そう、花は思った。”

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2012年9月12日
読了日 : 2012年9月11日
本棚登録日 : 2012年9月11日

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