知っておきたい日本の神様 (角川文庫ソフィア)

著者 :
  • 角川学芸出版 (2005年11月25日発売)
3.33
  • (15)
  • (42)
  • (91)
  • (11)
  • (4)
本棚登録 : 650
感想 : 64

Fri, 04 Dec 2009

最近の日本人は 旧約聖書の世界の始まりは知っていても,
ギリシャ神話はしっていても,
日本の神話を知らなかったりする.

西洋文明がリードしてきた近代化が環境・資源問題,国際安全保障問題等で壁にぶつかる中,自然共生型の思想が注目されているが.
青い鳥は すぐそばにいる.

というわけで日本の神道だ.
さてさて,みなさん,お忙しい中,
今更,日本の神道を勉強しようとおもってもそんな時間は無いかと.
とはいえ, 正月にはおみくじ引くし,受験と交通安全くらいはお守り買うでしょ.

日本人は宗教心がないとか 西洋来の人は言うが,
ぼくは まったくもってそんなことは無いと思う.
まさに,神道は 日本人のベースを形成している宗教なのではないか?

「え?そんなことないよ.おれ,神道なんてしらねーし.墓とか参るし,あれ仏教でしょ.クリスマスはプレゼント買うよ.第一,洗礼みたいなのもしてないし~.」

とはいえ,多くの日本の人は
# もちろん ハッキリ宗教観をお持ちの方は除く

「木々に包まれている場所に神聖さや安らぎを感じる」
「神様に願い事をしていたら,それだけで望みが叶うとか,そんなの嘘くさい」
「長く使ってるものとか,なんかそれ自体に なにかが宿る気がする」
「ホント尊敬すべき過去の偉人とか,すげーソフトウェアとかカミだよねー!」
「べつにいろんな神様がいて,いーんじゃねぇー.人生イロイロ,神様イロイロだよ」

と,いう風な ゆるさと現実主義,自然や物との共生観 を根っこに持っていたりするのではないだろうか?
これが,しばしば,現代都会人に田園・山村風景へのノスタルジーを生んだりする.

ちなみに,上記は,大体,僕が共感するものでもある.

とまあ, 上に書いたのが 僕が理解しているところの 神道の 宗教的ニュアンスなんですよね.
もちろん,時代や派によって,天皇中心支配の色を強めるための機構や,その他もろもろが入るので,全ての神道がそうだとは全く言わないが,

よく,「宗教的寛容」なんて事を言うが,神道は歴史的に 超寛容, てか無節操なところもある.
日本は「輸入文化だ」 なんて事もいうが, 最近それって違うな っておもう

日本の強みは輸入ではない 「消化」 だとおもう.
外から,引っ張ってきた全く関係ないものを 自らの思想体系,生活・文化の中で再解釈し,位置づけ,自らの物として消化してしまう.

音楽シーンでも,日本で定着したHip-Hopは最早ビルボードのそれではない(僕の感覚による).
# なぜ,Hip-Hop が「おかんありがとう!」みたいなメッセージソングになるんだ!!?
# めっちゃ柔らかくなってるし・・・.

で,本書なんですが,
日本の神道といろんな神様を,少ない頁数の中で
網羅的に概説しています.

次々に神様の名前や由来や,どういう風に信仰されていったかが,
書いてある.

神様の中には,各豪族の先祖的なものもあれば,海外からやってきたものもあるし,
富士山みたいに”山”が信仰されたものもあれば,明らかに仏様もいる.
それから,徳川家康や菅原道真みたいに,神様になっちゃった人もいるし
明治に入ってから,戦死者をまとめてまつった 靖国もある.

まぁ,ほんとイロイロ 
海外から来たのなんて, オリジナルは悪い神様が なんか,こっちにきて,実はイイヤツ!みたいな 変化を遂げた物もあるし.

「うちの神様って,実はインドの○○○といっしょなんですよ!」
って事で融合を果たしたものもある.

ほんと,その柔軟さには笑うとともに,うなずいてしまう.

というわけで,ゆるい神道って,いいなと思うわけですよ.

灯台もとくらし.

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年1月4日
読了日 : 2009年12月4日
本棚登録日 : 2015年1月4日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする