戦争がビジネスとなり民間軍事会社に委託される世界を描いたSF小説、スカイ・クロラシリーズの第1巻です。
1巻目ですがシリーズの時系列では最後の物語となり、映画化もされましたがそれとは決定的に異なる結末となります。
一定の秩序は保たれつつも退廃的で不気味な雰囲気を持つ世界、戦闘機乗りの函南優一(カンナミ・ユーヒチ)を中心に物語は進みます。
新薬実験で偶然誕生した思春期後に不老となる人間“キルドレ”と呼ばれるものがあり、彼もその一人です。
事故死か病死か自死でしか死ぬことがないため、キルドレの死生観はどんどん簡潔になるか考え抜いて狂ってしまうかのどちらかであるようです。
不老不死は人類の夢の一つと言えるかもしれませんが、もし技術の進歩により実際となった暁には寧ろ悩みが増えるだけのように思えました。
矛盾を隠さず臭い物に蓋をしないカンナミの生き方は理想に近いのですが、ここまで達観するには人間性を削るほどの苦しみがあったのでしょう。
読者によって十人十色の解釈や感想となるであろう考えさせられる一冊。
2巻にも期待します。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2021年6月14日
- 読了日 : 2021年6月14日
- 本棚登録日 : 2021年6月14日
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