永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編 (光文社古典新訳文庫)

著者 :
  • 光文社 (2006年9月20日発売)
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理性を探求する哲学者カントによる、啓蒙や世界市民構想・永遠平和についての論考が収録された一冊。
永遠平和には啓蒙思想と道徳心の向上が必要な反面、それは人間と社会の終焉をも招く諸刃の剣であることが述べられています。
合理性を追求する姿勢の啓蒙と倫理観を追求する姿勢の道徳が、どうして最終的に停滞と終焉を齎すのか。
人間は感性と理性の間に位置し国家は統一されない雑多な状態であることが望ましい、カントは偏らないことが理想であると考えているようです。
疑問が残るでしょうが、絶対的な平和は終焉を招き戦争は文明を存続させる、ということなのです。
戦争は最終手段の外交政策だとわかっていますが、戦争が絶対的に起きない世界が腐るというのも何となく想像できるのです。
それは自由な発言も行動も許されないディストピアと言えるのではないでしょうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学(哲学、心理学、倫理学、宗教)
感想投稿日 : 2020年10月12日
読了日 : 2020年10月12日
本棚登録日 : 2020年10月12日

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