オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年4月10日発売)
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本棚登録 : 392
感想 : 54
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否定も肯定も留保するところは相変わらずだが、題材が題材なだけにワイドショーノリがどうしても出てしまうという森監督としては甘いというか、そもそも本腰入れていないというか。一見下世話な題材でも「FAKE」で見せた人間をむき出しにする手法がない。連載という紙面の問題もあろうが、ならば何回でも分けて深堀して欲しかった。永田町の陰陽師の項は諦観という意味では最も掘り切っていない。刀すら抜いていない。それでも一番面白かった。
照れを忍んでいえば森達也の作品の根底にいつも流れているものは人間に対しての原初的な前提としての「愛」だ。どんなに胡散臭かろうと、間違っていようと一方的な批判や攻撃は決してしない。
オカルトという白黒つけることが、是非の立場をいっそう明らかにすることが強制されるジャンルについても変わらない。その隠されたコミットメントが本企画の主幹なのではないかとも思えてしまった。

ギャグはかなりの水準で笑えるのも嬉しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2019年9月6日
読了日 : 2019年9月8日
本棚登録日 : 2016年11月29日

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