中学以来の芥川龍之介。
普通におもしろかったです。しかもこの本、代表作ばっかり入ってるのでお得です。笑
「羅生門」「鼻」「地獄変」「蜘蛛の糸」「藪の中」「トロッコ」「芋粥」などなど。
一番どきどきしたのは「地獄変」だったかな。最後の場面は山登りしながら読んでたんだけど、映像が目に焼き付いて怖かった。
これは、ある絵師が極限のリアリズムを追求し、全てを犠牲にして、究極の地獄絵図を描き上げるという話。題材は宇治拾遺物語。
この人の特徴の一つなのかな?文章がNHKの大河ドラマのナレーターみたいな語り口調なので昔話っぽくて意外。
短編って長編以上に技術が必要っていうけど、この人の文章はほんときれい。無駄が多いとかないとかはわからないけど、こんな目に焼きつくような文章なんだからすごいに違いない。
P.35 「鼻」
人間の心には互いに矛盾した二つの感情がある。もちろん、誰でも他人の不幸に同情しない者はない。ところがその人tがその不幸を、どうにかして切りぬける事ができると、今度はこっちでなんとなく物足りないような心もちがする。少し誇張して言えば、もう一度その人を、同じ不幸に陥れてみたいような気にさえなる。そうしていつの間にか、消極的ではあるが、ある敵意をその人に対して抱くような事になる。
P.37
内供は鼻が一夜の中に、また元の通り長くなったのを知った。そうしてそれと同時に、鼻が短くなった時と同じような、はればれした心もちが、どこからともなく帰って来るのを感じた。
これはきっと今の整形に対する批判に間違いない。笑
んで表紙は芥川龍之介なのか?
- 感想投稿日 : 2009年5月25日
- 読了日 : 2009年5月25日
- 本棚登録日 : 2009年5月25日
みんなの感想をみる