メディアでは俗にいう『どんでん返しモノ』として紹介されていたが、散りばめられた伏線を丁寧に回収していき、最後にパチッとパズルのピースが気持ちよくハマるような作品に感じた。ただ、確かに私自身もミスリードに引っかかったので、そういった要素も持ち合わせているのかなとは思う。
さて、登場人物全員が怪しいのがポイントなのだが、そもそも『何が怪しいのか』がわからない。
純粋なミステリーというよりはサスペンスホラーを読んでいる気分に。怖い、不気味、だけどページを捲る手が止まらない。
鳳介の見た不気味なフラッシュバック・洋一郎の怪しげな動き・亜紀のトラウマ・徹の精神錯乱・恵の突然の死。物語の途中、「コイツが犯人か! あれ? 違う!?」と何度も首を傾げてしまった。
しかし、物語としては非常に興味をそそられる内容かつ、終わり方も爽やかなものだっただけに、物語の根幹にあった凄惨な性被害が最後まで頭を離れず、読み終わったあともじくじくと胸が痛かった。
亜紀ちゃんや咲枝さん(鳳介の母)の気持ちを考えるとどうしても心が痛んでしまい、ジャンル的には異なるかもしれないが、読後感的にはイヤミスを読んだような気持ちになった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
東京創元社
- 感想投稿日 : 2023年10月12日
- 読了日 : 2023年10月12日
- 本棚登録日 : 2023年10月12日
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