木戸メモ(音楽CD、DVD全般)

1970年にThe Nitty Gritty Dirt Bandがリリースした作品。
巷ではカントリーロックの名盤として評価されている1枚。

有名なのは、ノスタルジックなアコーディオン入りのフォーク・ソング"Mr. Bojangles"、よりロック・ポップ色の強い"House On Pooh Corner"といったシングルヒットですが、個人的に好きなのは"Livin' Without You"。
伴奏のアコースティック・ギター+スライド・ギターだけをバックに歌われるバラードですが、収録曲中、最もメロディアスだと思います。

ところでCD販売店・プー横丁の由来って、この曲なのかな?

  • LOST CHANCE

  • ジェイムス・チャンス・アンド・ザ・コントーションズ
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ノーウェーブ・シーンの主要人物の1人、ジェイムス・チャンスの作品。
個人的には初めて聴いた彼の作品。

本作を気に入るかどうかは、イコール、ジャズ×パンク×ファンクというサウンドが気に入るかどうか。
ハマって愛聴する人、単調と感じるだけの人と両極端に分かれそうです。

個人的に長い即興演奏があまり好きじゃないので(メロディーが綺麗でハマる演奏もたまにあるけど)、じっくりと聴く分にはあまり気に入っていない作品。
ただ、前にパーティーでかけたことがあって、その時はテンション高い曲が多いこともあり盛り上がりました。
なので、パーティー・ミュージックとして★3つです。

2013年7月17日

読書状況 聴き終わった [2013年7月17日]

菅野よう子の作品ということで購入。
アニメのサントラということなので、本来、そちらも込みで楽しむべきなのですが、そちらは未見。

wikiを読んだところ……
「200年前に絶滅したと思われていた伝説の獣・狼。だが、実際には時に人に姿をかえて生きていた。そんな狼の若者の1人・キバは、狼たちを狼だけに許された世界"楽園"へと導くという"月の花"の匂いを追い求めていた」という内容らしい。

これだけではイマイチ、キャラクター観が分かりませんが、主人公たちが楽園を目指す、という筋なのかな?

音だけでの感想としては、スメタナのモルダウのように、雄大でスピード感があり、なんとなく哀しみも感じられる曲が多かったです。(特に6曲目の"leaving on Red hill")

他にも2曲目の"CORACAO SELVAGEM"、5曲目"pilgrim snow"、12曲目"my little flower"あたりが良かった。
歌ものだと"strangers"。FFシリーズとかで流れていてもハマりそうな曲です。

ただ(やっぱり映像を観ていないのも影響して)忘れられない1曲、というのはありませんでした。

読書状況 聴き終わった
カテゴリ CD(サントラ)

1991年リリースのエピック移籍後第一弾アルバム。
ライヴでもよく演奏されるボサノヴァ調の"いいこ いいこ"(ギターはパット・メセニー)など収録。
全体的にクリアなサウンドで統一感があるアルバムですが、個人的にはこれといってイチオシの曲がなく、退屈な1枚。

カルト的な人気を持つドイツのロック・バンドFAUSTの1st映像作品。
不気味な音のコラージュながらメロディアスな断片を持つ1stアルバム、ロック色が鮮明になった2ndアルバムが気に入っているので、映像はどんなもんだろう?という興味から購入。

内容は未発表3曲を含む71年から94年までの11曲のイメージビデオで、思ったより普通の映像でした。(何かを期待していたわけではないのですが(^_^;))

たとえば"Ice Rain"は凍った森などの映像が流れるだけでごくごく普通。
ある意味、これまで歌詞が謎すぎて色々と想像できたものが、実際に普通の映像を見せられて小さく収まってしまったという気がしないでもありません。

聴き方にもよるかもしれませんが、私はFAUSTの音楽を視覚的に捉えるなら、DVDで観るよりも遊園地の体感アトラクション的な使い方の方が向いていると思います。

少し否定的なことを書いてしまいましたが、実際のところ「イメージビデオって、これ以上はやりようないよなぁ」という気も。
チカチカし過ぎる映像だったり、グロい映像だったら、それはそれで引くし。
本作、動くメンバーの姿もイントロなどで観れるので、その点は貴重だと思います。

不満は選曲。
1stアルバムで3トラックにまとまっていたコラージュの一部も収録されていますが、どうせなら"MEADOW MEAL"を丸ごと収録して欲しかった。

なおボーナストラックではZAPPI-W-DIERMAIERが各収録曲のエピソードを述懐しています。

"Ice Rain"は元々"Rainy Day"というタイトルで70年代初めに作られた。
突然、あるフォークロックな夜に(メンバーの)ルドルフ・ゾスナが僕の部屋に来て「いいアイディアが沸いたんだ!スタジオに行こう!」と言う。
それが"Rainy Day"が生まれた夜だった。
僕はこの曲を聴くとテキサスの雪と氷を思い出すよ。


またボーナスCDは一定のドラムリズムに中国っぽいメロディが乗るだけの"Back Of China"、ワルツ調の"Hamburg Walzer"(普通のワルツに嵐のような音、後半はトランペットの音が大きくのっかるだけ)、シンセ音にエコー気味のヴォーカル、激しいドラムが主体のコラージュ"I Spin"、"Virtual Reality"の4トラック。

この中だと、"I Spin"、"Virtual Reality"が好き。
前者は
・途中から被ってくるドラムがリズム自体を変えている。
・嵐のようなドラムをバックに流れるのどかなヨーデルが、まるで沈没するタイタニックの中で演奏される音楽のような物悲しさを持っている。
・ドラムがどんどん大きくなる様子が、嵐が物凄いことになりつつある風景を想像させる。
こんな具合に、色々と想像が膨らむFAUSTらしいコラージュ。

後者は
・スピード感あるドラム
・木琴が軽快さを加速
・4曲中、一番メロディアス
・コラージュが一番メロディーに馴染んでいる(1つのメロディーを色んな楽器の音の継ぎはぎで聴いている感じ)
・(演奏はされていませんが)後に続くメロディーが色々想像できる。
・でもラスト30秒ぐらいの人の声(アナウンスのコラージュ?)は邪魔。

2013年7月15日

ネタバレ
読書状況 観終わった [2013年7月15日]
カテゴリ 洋楽(映像)

マレー・ラーナー監督によるニューポート・フォーク・フェスティバルのドキュメンタリー作品。1967年に公開された。
数多くのアーティストが出演した昼の部、夜の部のステージと共に、来場した若者や年寄りへのインタビュー等を挿入し、当時のフォーク・ファンの音楽への認識も語られる。

コンサートこの作品に収録されているDylanのパフォーマンスは3つ。
昼の部の"All I Really Want To Do"、夜の部の"Maggie's Farm"、"Mr.Tambourine Man"だ。
"All I Really Want To Do"は、ジョーン・バエズの紹介に促されて登場。熱狂の中、トリとして笑顔でステージに上がっている。
スタジオ・ヴァージョンに忠実に演奏されており、観客の聴き入っている。

バターフィールド・ブルーズ・バンドを従えて行った"Maggie's Farm"は、一般にフォーク・ファンからブーイングを浴びたと言われているが、映像を見る限り、歓声と怒号が交差しているような反応だ。少なくとも、最も大きな反応を受けているのは間違いない。
マイク・ブルーム・フィールドがDylanの横で、体でリズムを取りながらエレクトリック・ギターを弾く姿も印象的。

"Mr.Tambourine Man"を歌う前には、「Eのハーモニカをもっていたら貸してくれ」と周囲に頼むDylan。
これもスタジオ・ヴァージョンと同様の弾き語りが楽しめる。

他にも、Dylanに関しては、リハーサル映像で"Like A Rolling Stone"のフレーズが聴けたり、昼の部の演奏後、車に乗り込み、後方の窓ガラスを叩くファンに応える場面などが見れる。

Dylan以外で本作の中心人物はやはりジョーン・バエズ、そしてPPMだろう。
ジョーンは「若者は好きよ」と言い、言葉を伝えることに熱中、ファンサービスもこなしている。
反応を見れば、当時のフォークファンにとって女王的存在だったのはよく分かるし、一方で、Dylanを"若者の代弁者"として紹介している姿を見ると、(彼女自身がDylanに)心酔している一方、Dylanにとってはもはや、望まざるイメージを押し付ける重荷になっていった感もしなくはない。
良くも悪くも優等生だというのが作品から受けた感想だ。

PPMは、"The Times They're A-Changin'"、"Blowin' In The Wind"といったDylanのカヴァーをはじめ、かなりの曲数が収録されている。
やはり、当時のフォーク・シーンの中心にいたグループの1つだということは間違いない。

その他、フェスティバルには、フォークに留まらず、ブルーズ勢も出演。中でもサン・ハウスやミシシッピ・ジョン・ハートの演奏シーンは中々見れない貴重なシーン。
マイク・ブルーム・フィールドがサン・ハウスについて語る場面も収められている。

Dylan以外で私が最も印象に残った場面は、"Maggies Farm"演奏シーン直前の婦人へのインタビュー。
"ロックンロールが隆盛しているが?"とでも聞かれたのだろうか、彼女は笑顔でこう応える。

「今フォークと呼ばれている音楽も、かつてはポップスだったのよ。変わっただけよ」

2013年7月15日

読書状況 観終わった [2013年7月15日]
カテゴリ 洋楽(映像)

1967年7月5日にロンドンのハイドパークで行われたフリーコンサートの模様を収めた作品。
ストーンズにとって、ブライアン・ジョーンズの脱退後、初のステージ。そのブライアンが直前(3日前)に亡くなったことで追悼ライヴにもなってしまいましたが、ミック・テイラーを新メンバーに加えての新生ストーンズがギシギシ言いながらも進みだす・・といった印象が強いです。

ミックのインタビューや、マリアンヌやその息子・ニコラスと一緒に会場入りする様子、それに楽屋にいるメンバーの様子(ミック・テイラーは緊張気味)などが随所に盛り込まれ、ステージのみを追った映像というよりは、ハイドパーク・コンサートという企画を記録した作品といった方が良い内容。
そのため、曲順も実際とは違い、演奏も寸断されている感は否めませんが、そうは言うものの、久々のステージということで、メンバー(特にミック)からは"ようやく人前で思いっきり暴れられる!"という喜びが感じられます。

私的見所は、白い衣装を纏い、ネックレスをつけたミックがブライアン追悼の意を込めて、シェリーの詩を朗読する場面、その後、白い蝶々がダンボール箱から解き放たれ"I'm Yours, She's Mine"が歌われる部分や、"Jumpin' Jack Flash"〜"Love In Vain"、そしてアフリカの先住民族っぽい衣装の人がステージ上で踊る"Sympathy For The Devil"(観客席も踊ってます)等々の後半。

音質はイマイチで、キースとミック・テイラーのコンビネーションもまだお互いに遠慮し合っていますが、ファンにとっては押さえておきたい作品。

2013年7月15日

読書状況 観終わった [2013年7月15日]
カテゴリ 洋楽(映像)

女性シンガー・ソングライター、ニッキー・ジーンの1stアルバムです。
なんと共作者のクレジットにディラン、バート・バカラック、キャロル・キング、バリー・マン&シンシア・ヴァイル、ポール・ウィリアムス、トム・ベルなど、ポップ/ロックやソウル史の巨人たちがずらりと並んでいます。

日本盤の解説によると「私なりのキャロル・キングの"つづれおり"のような作品が作りたい」という希望をきっかけに、まず彼女に共作を打診。
プロデューサーがキャロル・キングにつてがあったことから話が進み、彼女はヴォーカル・ゲストにも参加しています。
そして(恐らくはキャロルの手助けもあって?)その他のレジェンド・アーティストたちにもリクエストを送った結果、ある人は未発表曲を送り、ある人は自宅で共作……といった具合に協力を得たようです。
たとえばバート・バカラックは、彼の自宅で「残りは君が書くように」と未完の作品を渡し、ディランは"Shot Of Love"の頃に作った未発表曲を送り「新しいヴァースとブリッジを書きなさい」と指示したそうです。
ディランの曲はニッキーによると「既にできあがった曲」だったようで、(考え過ぎるのもよくないので)即興でデモを作り、ディランに返信した模様。

で、肝心のアルバムの音も名前負けしていない良作。
1曲目の"How To Unring A Bell"のイントロから期待通りだな!と感じたのですが、以下、特に気になった曲について。

"Steel and Feathers"
個人的に最大の注目だったDylanとの共作です。ゴスペル期のDylanらしい曲で"神の後ろについていく"といった主旨の歌詞。
各バースの後半の歌詞を引き伸ばして歌っているのが、あの時期の作品ならではで特徴的。

"My Love"
モータウンの名曲群を生み出したHolland=Dozier=Hollandとの共作。ストリングス・アレンジもモータウンっぽくて、その辺に彼女やプロデューサーなりの敬意を感じました。

"What's A Girl Supposed To Do"
Jeff Barryとの共作。最初スローバラードなのかと思ったら途中からダンサブルになる辺りが好き。

"Rockaway"
Carole Kingとの共作。なんとなくマスタリングが60年代っぽい気がするのは私だけ?あるいはニッキーが高音を歌う時のヴォーカルが60年代の女性コーラスグループっぽい感じで聴こえるから?
このアルバムの主旨である"20世紀の素晴らしいサウンドを伝える"ということだとしたら、これはまさにそんな曲。

他の曲も良曲ばかりでした。
ただ、1点だけ注文があるとすれば(そしてそれは最も難しい注文ですが)、良曲が並ぶ中、突出して"これぞ最強!"といった名曲は見当たらなかったので、そういう曲が欲しかったなぁ。
確かに色んなアーティストとのコラボを聴いているのは楽しいですが、突き抜けてハマる曲がないから、"画竜点睛を欠く"というのがズバリな感想です。
もっとも試み自体は素晴らしいし、どの曲も耳触りは良いので一聴の価値はあると思います。

2011年12月11日

読書状況 聴き終わった [2011年12月11日]

最初と最後に、アルの"雨も気にせずに歌った素晴らしい夜だった。あれから時が過ぎ、デニスとカールが逝った。しかし、我々の音楽は永遠に生き続けるだろう"といったコメントが入るんですが、このセリフも泣けます。
色々なところで言われている通り、マスト・アイテムなのは間違い無いです。
"Good Timin'"をバックにアルのコメントが流れ、60年代〜のライヴ映像や写真が映って、ワクワク感を高め、1曲目の"California Girls"から、会場の歓声も凄い。
"Sloop John B"ではブライアンのヴォーカルですが、この時期のブライアンは、歌ってるだけで、ある意味迫力あるからなぁ。
一番観たかったのが音だけは大分前から聴いていた"Darlin'"でのカール。
シャウトしまくっているのが印象的で、"あぁ、カールは、ロックしてるなぁ!"と思っていましたが、まさに映像もそんな感じ。
シャウトする瞬間のカールが、映っていないのは残念ですが、観客をぐいぐい引き込むヴォーカルはさすが。
アルの"School Days"の後の"God Only Knows"で、観客席を誇らしげに見るカールの表情も良いです。
"Be True To Your School"、"Do It Again"、"Little Deuce Coupe"とノリ良く続いて、(ここら辺ではマイクが大活躍)、これも見所"Cotton Fields"〜"Heroes And Villains"のメドレー。
スピード感のあるコーラスが素晴らしい。
現在のブライアン・バンドの"Our Prayer"からの流れも圧巻ですが、ビーチボーイズの方も、アル、カールが特に大活躍してます。
カールの弾けてる"Keepin' The Summer Alive"(←当時の新作)、アルが奥さんへの愛をこめて歌う"Lady Lynda"(←曲頭に、観客から拍手があって、アルがちょっと照れてたり、マイクが、最後の部分が好きなんだ、と言って、"One more time!!"と言って歌い返したり・・)、そして、デニスがブライアンを紹介して(←この場面がたまらなく好きです)ブライアンが中間部を歌う"Surfer Girl"・・・。
とくに"Surfer Girl"は、一番のハイライトです。
"Help Me Rhonda"からは、一挙にノリノリ・ロックンロール・ショー。
"Rock&Roll Music"、"I Get Around"、"Surfin' USA"とどれも、全て大ヒット曲が続きます。

アンコールとして、まずデニスが登場し歌う"You're So Beautiful"。
デニスは、こういう甘い歌詞の曲が似合います。
その後、"Beach Boys!"と他メンバーもステージに呼んで、マイクの足にタオルを巻きつけて(笑)、"Good Vibrations"(←観客にも、歌わせている)、"Barbara Ann"、"Fun,Fun,Fun"とどれも最高のテンションが保たれています。
う〜ん、やっぱり全音楽ファン必見のマスト・アイテムです。
アルの言葉通り、彼等の音楽は永遠に生き続けるでしょう。

2013年7月15日

読書状況 観終わった [2013年7月15日]
カテゴリ 洋楽(映像)

結論から書くと、単純にコメディーとしてはまぁ面白かった。
ただ、途中引っ張ってる間が面白かった割りには、ストーリーが不燃焼のまま。爆発が無いまま終わっちゃったなぁ、という印象。

あと、展開が大味過ぎる(そして都合が良すぎる)部分もありました。
例えば、全然練習してないのにツアー途中から演奏がマシになるとか。
クドカンの映画では、ドラッグストアガールが大好きで、あの映画もストーリーはジェットコースターだったんですが、とんでも無い展開にもそこまで無理を感じかった(というか、冷静な判断をする以前に面白くて笑ってしまった)のだけど。

あとヴォーカルが途中で普通に歩けて&喋るようになったのも、なんかチグハグさを感じた。
歌詞が危ないからわざとボカすだけなら、最初から昔と同じように歌えばいいわけだし。(初めて立った時のシーンとかは爆笑だったけど)

なので、この映画の楽しみ方は、深く考えず場面場面のコネタで笑うというのが正解だと思います。そういう意味では面白かったし。
パンクという題材についても、ネタとして上手く使われていたと思うんで、「パンクとは●●なんだよ!」的なことを言うのは野暮かな。
「ファッション・パンクばっかでうんざりだ」というセリフには同感だけど、映画中の"少年メリケンサック"も個人的な尺度では、ファッション・パンクに近いと思った。

ところで、遠藤ミチロウが出演していて。
昔、私が出演していたライヴハウスが彼のマネージャーの方が運営しているところだったので、チョット懐かしくなりました。

2010年1月25日

読書状況 観終わった [2010年1月25日]
カテゴリ 映画(邦画)

 1920-30年代のアメリカを代表する作曲家ジョージ・ガーシュインと、その兄で作詞家アイラ・ガーシュイン(1896-1983)の作品をブライアン・ウィルソンがカヴァーした新作。ブライアンにとって、キャピトルからウォルト・ディズニー・レコードに移籍しての1作目です。

ブライアンの重厚なコーラスによるイントロの"Rhapsody in Blue"から惹かれます。
クレジットを見ると、ジェフリー・フォスケットやダリアン・サハナジャ、テイラー・ミルズ、スコット・ベネットなどお馴染みのブライアン・バンドの面々がバックを務めているようです。
トラック3の"Summertime"からはメドレー。
個人的に序盤のハイライトはサキソフォンやハーモニカ、ベース・ハーモニカ、バンジョーなどがリズミカルに鳴るおもちゃ箱のような"I Got Plenty o' Nuttin'"。
後半のストリングス・シーンから流れ込む"It Aint't Necessarily So"は非常にブルージー。

ジョアン・ジルベルトも演っていた"'S Wonderful"はボサノヴァ調。続く"They Can't Take That Away from Me"はラストの終わり方が"Wouldn't It Be Nice"を彷彿とさせます。
次の"Love Is Here to Stay"ではプロビン・グレゴリーのテルミンが入っているし、アルバムの最初と最後に"Rhapsody in Blue"が登場するあたり"SMiLE"の"Our Prayer"も彷彿とさせ、ブライアンらしさ+ブライアンの考えるシンフォニーが詰まっているのかも。(勿論、全編に渡るコーラスこそ、ブライアンらしさの最たるものなのですが)

一方で、ガーシュイン作品の中で一番好きで楽しみだった"I Got Rhythm"は、"Rock'n' Roll Music"のビーチボーイズ・カヴァーと同じような印象で期待外れ。
この曲は、やっぱり跳ねるピアノで聴くのが一番。
スタンダードな演奏や、上原ひろみバージョンの方が気に入っています。

ただ、他の曲については、「多分こんな感じになるだろうな」という期待通り。
原曲を全て知っていたわけではないのですが、大きなサプライズがない代わりに、安心して聴けました。
今後も何度も聴きたい良い作品だと思います。

1つ難点を挙げるとすれば、いくつかの曲で終わり(フェイドアウトするタイミングとか)が早くないか、ということ。
特にラストの"Rhapsody in Blue"のリプライズはもう少し余韻を残して欲しかったなぁ。
でもそれ以外は文句なし。David Wildによるライナーにある「グレート・ソングは永遠の喜びだ。今日においてもね」という言葉がピッタリ。

期待通りのブライアンでした。

2010年8月17日

読書状況 聴き終わった [2010年8月17日]

[DATA]
1stアルバム"Ticket To Ride"は満足のいくチャート・アクションを収めたわけではなかったが、それでも全米チャート入りを果たしたこと、また、シングル・リリースされた"Ticket To Ride"が54位まで上昇したことは、カーペンターズにとって多少なりとも自信になったのではないだろうか。
とりわけ、リチャードにとっては、試行錯誤を経た結果行き着いた自分達のサウンドがチャートに食い込んでいける・・という手応えを掴めたことは何よりの成果だったであろう。
リチャードはこう回想する。

僕らのデビューシングル"Ticket To Ride"は数ヶ月チャートにいて、54位まで上がった。だからいくらかの期待を抱いたんだけど、"Offering"(アルバム"Ticket To Ride"のこと)は、殆ど売れなかった。にも関わらず、ハーブ・アルパート(A&M社長)は僕らの成功を信じてくれた。それで、セカンド・アルバムの制作を開始したんだ。
その頃、1969年暮れに、バート・バカラックは僕達が演った"Ticket To Ride"を聴いたらしい。これがきっかけで、彼から1970年2月に企画していたベネフィット・ショーへの出演と、彼の曲をメドレーで演るように依頼されたんだ。
ハーブは、僕にバカラックの"They long to be close to you"を勧めた。
メドレーで演るには向かないけど、新しいアルバムには絶対に収録するべきだって思ったよ。

その"Close To You"は1970年5月末に、2ndシングルとしてリリースされ6週に渡って全米トップという大ヒットになったのである。
手応えが明確な形で証明されるのに時間はかからなかったというわけだ。
同タイトルが冠されたアルバム"Close To You"には、もう1つの強力なカヴァー"We've Only Just Begun"が収録されている。
この曲は、ロジャー・ニコルズとポール・ウィリアムスが銀行のテレビCM用に書いた曲だ。

"Begun"は、コマーシャルを数回観た後、耳に残っていたんだ。
僕らの3rdシングル、そして僕らのテーマ的な曲になった。
アルバムには他に、"Close to you"が出来るまでは2ndシングル候補だった"Help"のカヴァー、それに、僕がジョン(ベティス)と一緒に大学時代に書いた4曲・・"Crescent Noon"、"Mr. Guder"、"Maybe It's You"、"Another Song"も収録されているね。
(リチャード・カーペンター)

シングルの大ヒットもあり、同名の2ndアルバム"Close To You"も全米2位を獲得。グラミー賞では"最優秀新人賞"と"最優秀ポップ・グループ賞"を受賞する等、この年、コネチカット州にいた普通の兄妹は、トップスターになったのだった。


-アルバム"Close To You"-
1970年8月末にリリースにされたカーペンターズの2ndアルバム。
1曲目に"We've Only Just Begun"(リチャード、カレンもとても気に入った出来だったそうです)、丁度、真ん中に当たる6曲目に"Close To You"という2大ヒットを配した名盤。
勿論、この2曲は文句無しに素晴らしいですが、軽やかな"Love Is Surrender"やフォーク、ジャズのファンには御馴染みのティム・ハーディンのカヴァー"Reason To Believe"など、他のカヴァー曲、それに、リチャード大学時代の4曲を丁寧に歌うカレンの歌声も見逃せません。
"Help"のカヴァーは肩に力が入り過ぎている(大袈裟になりすぎている)感もありますが、自分の得...

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2013年7月15日

読書状況 聴き終わった [2013年7月15日]

京都の三条・MOVIXまでレッドクリフを観に行きました。
この作品、三国志の世界をジョン・ウー監督の下、トニー・レオン、金城武、、リン・チーリンにヴィッキー・チャオなどアジア圏の錚々たるスターが演じるということで話題沸騰でしたが。

結論としては、三国無双とか、いわゆるアクションものの延長として三国志を興味を持っている人はそこそこ気に入るんじゃないでしょうか。
ただ、純粋に小説・三国志、あるいは正史・三国志のファンはう~ん?という印象もあるかも。
個人的には、60点ぐらい。
それなりに楽しめるシーンもあったけど、一寸あざとさも感じつつ。
全体としてはバランスが悪いというか。中途半端な作品だな~という印象。
その辺の理由について以下に書いていきましょう。
あ、こんなページを読んでる人は"三国志ファン"だろうという前提で書いてきます。
ストーリーは長坂の戦いから赤壁の戦い前哨戦あたりまで。
曹操が献帝に南下進軍の許可を求め、反対する孔融が斬首されるところからスタート。
殆どセリフらしいセリフも無いままに、長坂の戦い・戦闘シーンが始まります。
さっき三国無双とかが好きな人は楽しめると書いたのはこの辺のことで、ホント殆ど斬りあってるだけ。
多分ジョン・ウーは「三国志が撮りたかった」というよりも「迫力のある戦闘シーンが撮りたかった」⇒その題材として一番知名度がある三国志を選んだのでしょう。

序盤は殆ど趙雲の独壇場で"斬って斬って斬りまくる"といった感じ。
殺陣は上手いという程ではないけど、まぁ下手でもないといったレベル。
孔明が張飛に「反射光の計?」なるものを授けており、曹操軍が攻めてくると兵士たちが盾を裏返し、鏡になっている裏面で太陽光を反射させて、曹操軍の目を眩ませるというビックリな作戦を行っています(笑)
勿論オリジナルな計ですが、ジョン・ウー版ならではの味付けということで良いんじゃないでしょうか。
ただその後、張飛や関羽の殺陣もあるんですがこれがイマイチ。というかはっきり言って下手(ちなみに関羽は目つきが悪い人、張飛はイマイチ強そうじゃない人が演じてます)

実は来年、"三国志 龍の復活"という映画もあるようで、これはアンディ・ラウが趙雲を演るらしい。
こっちの方が強そうな気がしますが、まぁ、それは置いといて。

文句としては、歴史物語としてのあまりの薄っぺらさ。
長坂の後、孔明は呉に使者として赴きますが、そこでの孫権説得シーンが最悪。
「曹操は悪者だからそんなのに屈したら駄目だよ!Youだって優れてるんだから勇気だしちゃいなよ!」程度の説得で、孫権が揺れてしまいます。
あれじゃ孔明というよりも金八のノリだよ。
せめて横山光輝三国志程度の論戦はやりなさいよと突っ込みたくなります。

しかもその後、孫権が狩りに出るシーンがあるのですが。
孫権を1人で虎に挑ませて、遠巻きに見守る呉の臣下たち。
お前ら、そんなんだから、孫策も狩り中に矢に打たれちゃったんだよ!

虎相手に人間一人が弓矢だけで勝つことは、まず無理です。というか殺されます。

この後も、ただの軍事上の同盟を無理やり友情に摩り替えようとしていて。
周瑜を説得に行った孔明は、なぜか馬のお産を手伝ってて三国志というよりも水滸伝の皇甫端状態。
周瑜の説得は、ろくに説得もせず合奏で決まってしまったり。
「曹操に友達がいない」「こちらには友情がある」など、およそ三国志の魅力である権謀術数という部分はどこにいっちゃったの?と思わせるような言葉の連続です。

そこまで無茶苦茶な展開をしておきながら、無理やり"八卦の陣"を登場させたり、子供に国語を教える...

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2010年1月25日

読書状況 観終わった [2010年1月25日]
カテゴリ 映画(洋画)
  • ロウ

  • デヴィッド・ボウイ
  • EMIミュージックジャパン / -
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DATA]
1977年。パンク・ロック全盛の時代に、ベルリンに活動拠点を移したデヴィッド・ボウイが放ったニュー・ウェイヴの先駆け的作品。
数多いボウイの作品の中でも、傑作の評価が高く、商業的にも英2位、米11位の成功を収めている。
とりわけ(レコードでは)B面に収められた"Warszawa"からの4曲は、ブライアン・イーノ主導により、ヨーロッパの歴史を俯瞰するかのようなドラマチックな展開が繰り広げられる。
その他、イギー・ポップがヴォーカルで参加する等、多彩な顔ぶれが揃った名盤。
プロデューサーはトニー・ヴィスコンティ。

[自問自答による私的思い入れ]
Q1 いつ買いましたか?また買ったきっかけは?
2006年1月末に大阪・茨木のJEUGIAで買いました。
デヴィッド・ボウイのオリジナル作品は、"Ziggy Stardust"、"Diamond Dogs"、"David Live"、"hours..."といったタイトルを既に聴いていて。
次に、どのタイトルを買おうか・・と迷っていたのですが、丁度、"Rock You!1500(名盤を3ヶ月間、1500円で販売!)"という企画が実施中で、本作が対象商品だったので購入。
他には、"Pinups"や"Station To Station"も置いてありましたが、ブライアン・イーノが参加している本作を選びました(U2の"The Joshua Tree "も好きなので)
あとはイギー・ポップにも興味を持ち始めた時期なので、彼の参加も買った理由の1つです。

Q2 ジャケットの印象は?
デヴィッド・ボウイの美しい横顔。
ただ横を向いているだけですが、いかにも中世のヨーロッパ絵画のようなジャケットから、中性的な妖美な魔力が発散されていますね。
デヴィッドのアルバム・ジャケットには秀逸なものが多いですが、これもそんな1つだと思います。

Q3 アルバムを聴いた第一印象は?
テクノっぽい音で構成された前半と、"Warszawa"からの壮大な音世界。
私は後者が非常に気に入りました。
デヴィッド・ボウイという人は、単純に音楽だけではなく、そこから喚起されるイメージやストーリーも含めてボウイ・アートを築いている・・というのが以前からの印象ですが、それがより強くなりました。
"Warszawa"〜"Weeping Wall"なんてまさに、映画で使われていても違和感が無い曲だと言えます。
Q1でも書いた"The Joshua Tree"にも壮大な世界観を感じていたので、この3曲はブライアン・イーノの影響が大きいのでは・・?と思ってボウイの解説本を開いたら、やっぱりそうだったようです。
当時のボウイはドラッグ中毒ということもあり、殆どイーノに任せっきりだったとのこと。・・確かにジャケットの目もそんな感じだもんなぁ(^^;)
少し話が逸れますが、"The Joshua Tree"を聴いた時、世界観の大きさと、独特の音の質感(クリアでしかし暖かい)を感じました。
ブライアン・イーノ参加の本作では前者、ダニエル・ラノワの他のプロデュース作品からは後者が感じられるので、それが2人の持ち味なのかな・・と思いました。

Q4 アルバム中特に好きな曲は?
"Warszawa"からの4曲。4曲というよりも、全てひっくるめて1つの作品と考えています。
ナチスによるワルシャワ蹂躙の悲劇を描いているとのことですが、目を閉じると、ジャケット同様オレンジ色の荒涼とした大地が見えてくるじゃあありませんか。

2013年7月15日

読書状況 聴き終わった [2013年7月15日]

※アカデミー賞を取って物凄い話題作になってしまいましたが、私が観たのは、そうなる前。公開直後のことでした。以下は、その際の感想です。

京都MOVIXで鑑賞。
主演は本木雅弘。助演に山崎努、広末涼子ほか。

-ストーリー-
プロのチェロ奏者を目指していた主人公・小林(本木)だったが、ある日突然所属楽団が解散。
妻(広末)とともに故郷の山形県に帰ることに。
そこで職探しをしていると「未経験者歓迎!旅のお手伝い・NKエージェント」という広告に目が留まる。
旅行代理店あたりだろうと思い行ってみると面談もそこそこに即採用。
実は、「旅のお手伝い」ではなく、「旅立ちのお手伝い」、納棺師の仕事だったのだ。

最初の仕事が、孤独死後二週間経過した老女の遺体の納棺で嘔吐するものの、給料の良さに辞められなくなり、仕事をこなす内に、納棺師が故人の最後の晴れ姿を司る(そして遺族らとの最後の触れ合いに立ち会う)大切な仕事だということに気付いていく小林。

しかし妻からは「汚らわしい仕事は辞めてほしい」と懇願され、家出されてしまう。
それでも悩みながら、納棺師という仕事を通して様々な形のお別れに出会う小林。
やがて妻が戻ってくるが、同時に馴染みの銭湯のおばさんが亡くなったとの知らせが……


4連休の間に、映画を何か観ようと思っていて。
何がいいかな~と思って、上映中の映画を調べたところ、一番私向きだったのがこれでした("Shine A Light"も"レッドクリフ"も観終わっていたので)
主演の本木雅弘の映画というと「シコ踏んじゃった」、「トキワ荘の青春」などが好きで。
多分、テーマから言って、ドタバタものではない&落ち着いて観れそうだし、音楽が久石譲。あとは山崎努も出てるし、なんか良い味出してるんだろうな~という予想があったので、この映画を選びました。

感想としては、良かった。チェロを演奏しているシーンは正直要らなかったですが、少なくとも退屈せず最後まで観れました。
広末涼子も舞台だとダメだったけど、映画だと良かった。

正直、物凄い傑作、というタイプじゃないのですが、観てよかったと思えるタイプの作品です。
・納棺師という普段馴染みがない職種への興味
・納棺師のやりがいが分かりやすい形で紹介されている
・小林と妻、小林と父の関係はどうなるんだろう、という興味
こうした理由から、スクリーンに集中するのは間違いないんじゃないでしょうか。
ただ、現実的な話をすると、2つ疑問が。
1つ目は納棺だけを専門にやる人って実際には少ないんじゃないの?という疑問。
僕自身、祖母の葬式などで納棺の場を体験したことはあるけど、確か葬儀屋さんがやっていたと思う。
2つ目は、納棺師ってそんなに高給取りか?という疑問。
未経験で入ったばかりの小林が、月50万でもOKだぞ、とか言われてるんですが、実際にはそんなことはないでしょう。
実は私、思わず「納棺師、給料」でググッてしまいましたが、どちらかといえば葬儀屋さんは薄給のようです。

まぁ、そんな疑問もありますが映画自体はよくできていました。
観て損はありません。

2010年1月25日

読書状況 観終わった [2010年1月25日]
カテゴリ 映画(邦画)

-ビリー・ジョエルについて-
ビリー・ジョエル(以下ビリー)は、本名をウイリアム・マーティン・ジョエルといい、ニューヨーク・ブロンクスで1949年5月9日に生まれました。
57年に両親が離婚、母親に引き取られたビリーは、貧しい生活の中、53年頃から受けていたピアノのレッスン(最初は無理矢理連れて行かれたそうです)を続け、音楽への興味を高めていきました。
そんな彼の音楽への興味を決定付けたのが、1964年2月9日に友人宅のテレビで観たビートルズでした。
この後、エコーズ(後にエメラルド・ローズ)に参加したビリーはヴォーカルを担当、この頃から作曲を始めます。

1968年、ハッスルズに参加したビリーは、グループ名義で2枚のアルバムを発表しますが、音楽性の違いから脱退、アッティラというデュオを組みますが、これも上手くゆかず、精神的に病んだため、自殺を図り(大事には到らず)、3週間ほど精神科に入院しました。

この後、再び精神状態を回復したビリーは、ロサンゼルスのファミリー・プロダクションとソロ契約を結び、1972年1月、ソロ・デビュー・アルバム"Cold Spring Harbor"を発表しますがこれも商業的な成功は得られませんでした。

上手く行かない活動に、傷ついたビリーをなぐさめたのは、当時の同棲相手で73年には結婚、マネージャーにもなるエリザベス・ウィーバーでした(後に離婚)
エリザベスの応援もあって、コロンビア・レコードと契約したビリーは、セカンド・ソロ・アルバム"Piano Man"をリリース、全米27位のヒットを記録しました。

"Just The Way You Are"は、77年9月発表のアルバム"Stranger"に収録されています。
このアルバムからは、ファースト・シングルとして"Movin' Out"がリリースされましたが、ヒットしませんでした。
ところが、FMラジオで"Just The Way You Are"が流されるようになると、大反響を呼び、急遽、セカンド・シングルとしてリリース、全米3位を記録しました。
同時に、アルバムの売れ行きも好調となり、最終的には全米2位の大ヒットとなりました。("Just The Way You Are"は、第21回グラミー賞で、最優秀ソングを受賞しました)

翌78年には、初来日公演を果たしたビリーは、この年の10月、アルバム"52nd Street"を発表、アルバム・チャートでNo.1を獲得します。

その後もビリーは、多くのアルバムを発表、ライヴ活動を行っています。
95年、8度目の来日公演を行うために1月17日、大阪のプラザホテルに滞在していたビリーは、阪神大震災に遭遇します。
震災当日は、大阪城ホールでのコンサートが予定されていましたが、危険な被災地で報道するマスコミに感動したビリーは、公演を19日に延期(18日は予定通り公演)、コンサートの収益の大半を寄付したそうです。

その後も、98年にはエルトン・ジョンと共に8度目の来日公演を行い大成功を収めるなど、ビリーは今でも精力的な活動を行っています。

-本作について-
"Just The Way You Are"などが収録された本作は上記した通り、全米2位のヒットを記録しました。
日本ではCMに使われ、ヒットしたタイトル曲"The Stranger"や、最初はヒットしなかったものの再発され17位のヒットを記録した"Movin' Out"等聴き所が多いアルバムです。
"Just The Way You Are"は、当時の妻、エリザベスに捧げられた曲です。
個人的には、アコーディオンの音色の美しい"Vienna"がお薦めです。

2013年7月15日

読書状況 聴き終わった [2013年7月15日]

<現在の解説>
1970年8月に発売されたブラザーからの第1弾。
発表当時は、上記したように"ビーチボーイズ=サーフィン・バンド=もう古い"といった印象を持たれていた為、セールスも全米アルバム・チャート151位が精一杯で、すっとこどっこいだったが、実は"This Whole World"、"Forever"といった名曲も収録されているナイスなアルバム。
"All I Wanna Do"の出だしは微妙にBeatlesの"Strawberry Fields Forever"を彷彿とさせる。
ちなみに、この頃、他のバンドは何をやっていたかというと・・・

Rolling Stones
69年7月3日にブライアン・ジョーンズが死去。
69年12月には、名盤"Let It Bleed"を発売。
69年は、ブライアンの後釜、ミック・テイラーを加えた全米ツアーを展開、オルタモントの悲劇などはあったものの、世界最強のロック・バンドの地位を不動のものとする。
まさに神がかり的な状況で、71年4月には、"Sticky Fingers"を発売することになる。

Bob Dylan
70年6月、7月当時、Dylanは、"Self Portrait"を発表し、ボロクソの評価を受けてました。

Beatles
1970年5月に"Let It Be"発売。
1969年の5月には、ジョンはヨーコと共にベッド・インをスタート。
ジョージは1970年11月に"All Things Must Pass"を発表し、Beatlesメンバーの中で最初のソロ大ヒットとなる。

Jackson5
1970年1月に発売された"I Want You Back"を皮切りに、"ABC"、"The Love You Save"と立て続けに大ヒット。
マイケル中心に快進撃を続ける最絶頂期。

Velvet Underground
1970年8月のマクシス・カンサス・シティでのライヴを最後にルー・リードが脱退。

Dave Clark Five
1970年8月に解散。

Jimi Hendrix
1970年8月にワイト島フェスティバル出演後、9月18日に死去。

Janis Joplin
1970年10月4日に死去

Eric Clapton
1970年11月に、"Layla"を発売、大ヒット。

The WHO
1969年5月、アルバム"トミー"を発表、ロック・オペラを確立。

このように、ストーンズは神がかってるわ、プログレも登場するわ(キング・クリムゾンが一気に台頭)、70年代に入ったら、グラム・ロックも全盛期になるわ、その一方でジャクソン5みたいなモータウン系も大人気だったりと、時の流れが急速な中では(ロック・スターも亡くなる人が続出したし)、ビーチボーイズが地味な感じになってしまったのは、仕方が無いかもしれない。
歌詞も、同時期の他のバンドに比べれば、甘いタイプのものが多いので、浮いた感じだったんだろうか?(ジャクソン5は可愛らしさも売りだから、あれで良いんだろうけど)

<当時のアメリカ的解説(おすぎ調)>
サーフィン/ホットロッドの人気バンド、ビーチボーイズの新作。
でも、今はサーフィンなんて流行らないわよねェ!
時代はフラワー・ムーヴメントなのよ!
しかも、爽やか路線なのに、Brian Wilsonはヤクでラリっちゃってるじゃないの!
このバンド、"Pet Sounds"あたりからよく分かんなくなってきたのよね。
"Smile"かしら?あの結局出なかったアルバム。
あの辺りからイメージ、ボロボロよねェ。
何だか、イギリスでは...

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  • フレンズ

  • ビーチ・ボーイズ
  • EMI MUSIC JAPAN(TO)(M) / 2008年12月9日発売
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発売時は最高126位と全くヒットしませんでしたが、現在ではファンに高い人気を誇るビーチボーイズの名盤です。
ブライアン・ウィルソンは、「この作品は、私が最も好きなビーチボーイズのアルバムだ。最高作と言う意味ではない。最高作は、Pet Soundsだが、Friendsは、いつでもグッド・ヴァイブレーションを与えてくれるアルバムだ」 と、述べています。
"Meant For You"をソロ作品の"I just wasn't〜"で1曲目にしたり、Pet Soundsツアーで"Meant〜"と"Friends"を歌っていることからもブライアンお気に入りの作品であることが推察されます。

また、ブライアン単独というよりはメンバー複数での共作が多いのも本作の特徴。
個人的にアルバム中一番好きな"Be Here In The Morning"はオリジナル・メンバー全員の共作。"男が女を必要な時"もデニス、アル他との共作。タイトル曲の"Friends"もウィルソン3兄弟とアルの共作です。そしてマイク・ラヴも"Meant For You"、"Anna Lee, The Healer"で曲作りに貢献しています。
しかし何といっても、デニス・ウイルソンが、"Little Bird"に"Be Still"と活躍しています。

とにもかくにも本作は、夕暮れ時の海を思わせる、お洒落な音楽に満ち溢れています。
殆どの曲は、ブライアンのホームスタジオでアットホームな中、演ったようで、セッション・マンを小数編成で起用しつつ、ブライアンもちょっと遊んでるようなファルセットを使っており、嵐が去った後の穏やかさという風情があります。

あと、個人的な思い出としては、このアルバムを買ったのは高校の頃よく行ってた横浜のレコード店(HMV横浜店のすぐ近くにあった)で。
初めてブートレグを買ったものもその店で、そこの狭い店内で、一枚一枚、色んなアルバムを丹念に調べていった記憶が思い出されます。試聴もさせてくれて、凄い楽しい場所でした。
塾の帰りやら、横浜のライヴ(ベイホールやら、パシフィコやら、サムズアップやら)帰りやらに相当寄ってました。だから、本作・・特に"Diamond Head"あたりを聴くと、その頃を思い出して、ちょっとノスタルジックな気分にもなります。

2000年にリリースされたスタジオ最新作であり、全てがジョアンの弾き語りという完全なソロ作品。
"3月の水"もシンプルでしたが、こちらこそが、ジョアン独りによる完璧なソロ演奏です。
年のせいか、少し声が低くなった気もしますが、かえって深みが増したヴォーカル、それより何よりも、ヴィオラォンの刻むコードが素晴らしい。
あれだけ親指(ベース音)をちゃんとキープしつつ他の指がリズミカルに奏でることが出来るんだなぁ、と。
きっと、手が楽器の一部になって自然に動いているんでしょう。
勿論、完璧主義者・ジョアンだから録り直しもあったようですが、こと、この作品に収められているトラックは全て、気分が乗っている時の演奏に違いなく、そういう調子の良い時に、自然にこれだけの演奏が出るところが、積み重ねなんだろうなぁと感動してしまうわけです。
現在、廃盤状態で聴けない"想いあふれて"や"デザフィナード"の再演や、"3月の水"でも演奏された"バイーア生まれ"等、それまでの名曲に新たな命を吹き込みつつ、カエターノの2曲を新たに録音する前向きな姿勢は、尊敬に値します。
以前、作った満足のいく録音を、超えるものを改めて演奏することの何と難しいことか・・。

1曲目"サンバがサンバであるからには"は、本作のプロデューサーでもあるカエターノ・ヴェローゾの作品、2曲目"思い知るがいいさ"はジョビンの80年の曲。
両方とも、初録音ですが、とにかくコードとリズムと微妙な音の変化のさせ方が素晴らしい。
一方で、ヴォーカルはゆったりと保たれたまま。
"エクリプシ"の再録で、スローになり、次も初録音の"僕は家へは戻らない"で再びリズミカルになります。
この曲は、サンバ・カンサォンの古典ということで、自分が若い頃に聞いていた曲が風化しないようにしているのでしょうか。
そういえば、ボサノヴァ創世記に、それ以前のブラジルの音楽をけなすアーティストもいる中、ジョアンは、良いものは良い、という姿勢を持っていたようだし。
アルバム中でも、特に好きな1曲です。
そして、"ヂザフィナード"の再録。
元々は、1958年11月10日に、レコーディング(13テイクも録り直し)されたカルロス・ジョビンとニュウトン・メンドンサの名曲であり、ボサノヴァを代表する1曲。
ですが、現在、当時の録音は、権利のゴタゴタで聴けないので、ここで聴けたのは、嬉しい限り。
キーは、当時よりも半音低いそうです。
ここでもリズムが素晴らしい!と思うのが、"エウ・ヴィン・ダ・バイーア"。
一人でやってる、ということを考えると驚異的ですね。
カエターノ作曲の"コラサォン・ヴァガブンド"は、原曲を聴いたことが無いのですが、是非、聴き比べたいなぁ。
ヴォーカルを結構、詰めて歌う部分がありますね。
どことなく陰のある曲です。
"ダ・コール・ド・ペカード"は明るいラヴ・ソング。
歌詞がいいですね。
ライヴでも取り上げる曲のようです。
"セグレード"は、ダルヴァ・ヂ・オリヴェイラの曲です。
そういえば、ジョビンって、50年代に、人気が下り坂になっていたオリヴェイラにも曲を書いてたんだよな〜。
40年代に活躍した人ですが、ジョアンもラジオで聴いていたのでしょう。
そしてラストが"想いあふれて"というのが良いですね。
この曲のサンパウロでの成功から、ボサノヴァがスタートしたと思うと、やはり、歴史を感じます。

読書状況 聴き終わった

"オラは死んじまっただ〜、ヨッパライ運転で〜♪"

飲酒運転で事故死したにも関わらず、天国でドンちゃん騒ぎをしていたため、現世に追い返された男を歌った、フォーク・クルセイダーズの"帰ってきた酔っ払い"で映画は始まります。

3人の日本人学生(加藤、北山、端田)が海水浴をしていると、浜辺においてあった服が、何者かに韓国の軍服とすり替えられてしまいます。
仕方なく、その服を着た3人は村の人々に、不審人物だと思われ警察に通報されます(当時、ベトナム戦争に送り込まれるのを嫌い、韓国からの密航者がいたそうです)
慌てて逃げた3人は銭湯で、謎の女(緑魔子)に「客の服を盗んで逃げればいいじゃない」とアドバイスを受け、実行しますが、2人の韓国人に捕まります。
彼等こそが、浜辺の服をすり替えた犯人で、脱走した韓国軍兵士&韓国人学生だったのです。
2人は、加藤、北山、端田を、自分達に仕立て上げ、殺し、脱走した罪を被せようと企んでいたのでした。
緑魔子の手助けもあって何とか逃げ出した3人ですが、結局、汽車の便所に追い詰められ絶体絶命に・・。

・・と、ここで、画面は、再び冒頭シーンに戻ります。

"オラは死んじまっただ〜、ヨッパライ運転で〜♪"

今度は、死なないように、銭湯とは別の方向に行こうと言う加藤、端田をよそに、"緑魔子に会いたい!"と北山が強引に銭湯に連れて行ってしまいます。
そして、再び、韓国人2人組に出くわしますが、今度は、加藤、北山、端田が、「自分達は韓国人で、韓国人2人組こそが、韓国人を殺そうとする日本人だ!」と言い出します。
結局、今回も逃げるのに成功したものの、最終的には逃げ切れず、汽車の便所に追い詰められる3人。
銃声が鳴り、汽車がトンネルに入って、何も見えなくなって、作品は終了します。


この作品を観ようと思ったきっかけは、知り合いにフォーク・クルセイダーズ・ファンの方がいて、是非、と勧められたからなのですが、私自身は、彼等については殆ど知りませんでした。
"帰ってきたヨッパライ"の名前こそ知っていましたが、歌詞をちゃんと聴いたのは今回が初めて、更に、作品中、3人がトラックで歌う"イムジン河"も知りませんでした。
この曲について調べたんですが、元々は北朝鮮の歌で、クルセイダーズのセカンド・シングルになる予定でプレスもされていたのが、発売直前に北朝鮮からの抗議があって発売中止になったというエピソードがあったそうです。
歌詞は、北と南に分離された朝鮮半島の統一を願うもので、ベトナム戦争や日本人と韓国人の愛憎といった話題も扱われているストーリーも含めて、民族間の問題であったり、アイデンティティであったりといったことに目が向きます。

アイデンティティといえば、明らかに初期のビートルズっぽいの格好をした日本人が、韓国人に間違われ、自分達が韓国人だと言い張り、北朝鮮の"イムジン河"まで歌ってるのがおかしいというか、虚しいというか、妙な気分になります。

でも、個人的に、一番頭に残ってるのは、エンドロールで流れる"帰ってきたヨッパライ"。
再生速度を速くしてある、やけに甲高いヴォーカルが、妙に耳に残ってます。

読書状況 観終わった
カテゴリ 映画(邦画)

1977年にリリースされた作品です。
録音は、76年11月17〜19日にニューヨークのRosebudスタジオで、77年1月3,4,7日にハリウッドのキャピトル・レコードで行われました。
本作の特徴は何と言っても、豪華なオーケストラ・アレンジが施され、アメリカ、イタリア、ブラジル、メキシコ等々、色々な国の音楽を歌っている、懐の深さではないでしょうか。
ジョアン単独による弾き語り作品は、確かに素朴な味わいがあって素晴らしいですが、こうやって、ストリングスが加わることで、より聴きやすく、お洒落になっており、とっつきやすい作品だと思います。個人的にも特にお気に入りのジョアン作品です。
勿論、ジョアンのギターも(とりわけ、後半のジョビン作品では)ちゃんと聴くことが出来ます。
アルバムに参加したのは・・・
ギター、ヴォーカル:ジョアン・ジルベルト
ドラムス:グラディ・テイト、ジョー・コレロ
ベース:ジミ・ハグハート
キーボード:ラルフ・グリエルソン

プロデュ−サー:トミー・リピューマ、ヘレン・ケアン
アレンジャー:クラウス・オガーマン
エンジニア:アル・シュミット

'S Wonderful (ス・ワンダフル)
作詞:アイラ・ガーシュイン 作曲:ジョージ・ガーシュイン
ストリングスの出だしからして、お!これは名盤か!と思わせるに十分な始まり方。
そして、軽快なパーカッションに、ジョアンのかなり訛りのある(そして、言葉を引き伸ばす独特の歌いまわしによる)ヴォーカルが続きます。
歌詞カードは、"Life has just begun"という出だしから始まっていますが、どうやら、ジョアンは、真ん中辺の"'S wonderful! 'S marvelous!"という部分から、"That you should care for me"という部分を繰り返し歌っているようです。
・・英語の歌詞を覚えるのが面倒くさかったのか?(笑)

Estate (夏のうた)
作詞:ブルーノ・ブライエッティ 作曲:ブルーノ・マルチノ
イタリアの曲で、ジョアンもイタリア語で歌っています。
身を焦がすような愛を歌っているようですが、歌詞でも「再び冬が戻り、(中略)、雪は全てを隠す。そうすれば多分、少し平和が戻るだろう」とあるように、アレンジは、涼しげなものです。
全編に渡ってストリングスが流れていますね。
個人的に、"Small Change"〜"Heart Attack & Vine"あたりのトム・ウェイツが好きな方は、気に入るんじゃないかと思っています。

Tin Tin Por Tin Tin (チン・チン・ポル・チン・チン)
作詞:ゲラルド・ジャクエス 作曲:ハロルド・バルボサ
一転して、リズミカル。ジョアンのギターが前面に出ている曲です。
ブラジルの曲なので、ポルトガル語で歌っています。
途中からオーケストラも入るんですが、あくまでも主役は、ジョアンのギター。
ギターの軽やかさと、ヴォーカルやストリングスの穏やかさが、上手い具合にマッチしているなぁと思います。

Besame Mucho (ベサメ・ムーチョ)
作詞・作曲:コンスエロ・ヴァラクエズ
8分49秒という、本作で最も長い演奏時間である力作。
ラテンのスタンダードで、スペイン語で歌っています。
ラテンらしく、「抱きしめて、愛を頂戴!」という情熱的な歌詞ですが、ジョアンのヴォーカル、ギターは、あくまでもジョアン・スタイル。
情熱的に歌う・・というよりも、相変わらず、柔らかく朴訥と歌っています。
ここでも、歌う際の言葉の区切り方が独特です。

Wave(Vou Te Contar) (波)
作詞・作曲:アントニオ・カルロス・ジョビン
...

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読書状況 聴き終わった

1997〜1998年のブリッジズ・トゥ・バビロン・ツアーより1997年12月12日、ミズーリー州セントルイス/TWAドームでのライヴ映像です。
個人的には、同ツアーでの来日公演が、初めて行ったロックンロールのライヴだったということ、そして勿論のことながら、生ストーンズの初体験だったこともあり、発売時は、レコード店に駆け込みました。
私的見所は、"Saint of Me"、"Out of Control"といった当時の新曲や、デイヴ・マシューがゲスト出演し、ミックと共に歌う"Wild Horses"、キース・コーナーの"Wanna Hold You"、観客席から飛んできた下着(マイクスタンドに引っかかっている)をミックがズボンのポケットに入れた後で歌われるセンターステージの"Like A Rolling Stone"、"You Can't Always Get What You Want"あたり。

キースは(ギターをろくに弾けない小さい頃でも)ポーズだけは練習していたという話を聞いたことがありますが、特に"Wanna Hold You"を見れば、そういった練習も役に立ってるんだなぁ(笑)ということがよく分かります。

さすがに、Forty LicksのDVDのダイナミックなカメラ・ワークに比べると、見劣りする部分はありますが、それでもブリッジズ・トゥ・バビロンの時の感動を残す公式作品として、大事な作品です。
現在は、DVDで発売されています。

読書状況 観終わった
カテゴリ 洋楽(映像)

-チャカ・カーンについて-
チャカ・カーンは、本名をイヴェット・マリー・スティ―ヴンスと言い、1953年3月23日イリノイ州で生まれました。
軍人の父、父の事務所の事務員であった母の間に長女として生まれた彼女は、厳格な家庭の反動からか、反抗的な幼少期を過ごし、カトリックの中学と公立高校を2回、退学しています。
そんな彼女の最初の音楽活動は、11歳の時に結成したクリスタレッツです。
10代の頃、彼女はいくつかの地元グループに参加したり、黒人の政治運動に参加したり、一時期アッサーン・カーンと結婚していたりと様々な経験をし、最終的にポーレット・マクウィリアムズの後釜としてルーファスに加入しました。
当初ルーファスは泣かず飛ばずの状態でしたが、スティービー・ワンダーがチャカ・カーンのヴォーカルに注目したことにより状況は一変します。
スティービーがルーファスに提供した"Tell Me Something Good"は、R&B/ポップ両チャートで3位という最高記録を得ます。
この後、ルーファスはメンバー交代を繰り返しながら、R&Bチャートにヒット曲を送り込みましたが、83年、チャカはルーファスを脱退します。
78年からグループでの活動と並行して行っていたソロ活動は、78年の"I'm Every Woman"、84年の"I Feel For You"(プリンスのカヴァー曲)等のヒットを生み出しました。
彼女は1988年のインタビューで「私が歌を歌う理由は、歌に惚れ込んで共感を得たから。お金の問題じゃない」と語っています。
確かに彼女は、ジャンルに捕われず様々なアーティストのアルバムに参加しています。
ジョニ・ミッチェル、ライ・クーダー、ジョージ・ベンソン、デヴィット・ボウイ、スティ―ヴ・ウィンウィッド、ホイットニー・ヒューストン等、その数は膨大な人数になります。

-本作について-
チャカ・カーンの代表作"I Feel For You"や"Through The Fire"が収録されているのが本作です。
何度もチャカ・カーン、チャカ・カーンと名前を繰り返す出だしから、スティービー・ワンダーのブルース・ハープ、目まぐるしい展開が、非常にスリリングな味を出しています。
"Through The Fire"、"I Feel For You"以外にも"Hold Her"、ゲイリー・ライト作曲の"My Love Is Alive"等の聴き所があります。

この作品は、感動云々じゃなくて、ここ数十年のアメリカの歴史を描く上で、フォレスト・ガンプという、時代の流れに対して客観的な人物を配した点が素晴らしいと思います。
歴史を語る時、事実を淡々と述べるのではつまらなくなってしまいますが、そこに、"特定の人を追う"形を取り入れると全く違ったものになります。
傍観者的な立場にいながら、周囲の人間に"本音"を言わせるガンプの存在が、比較的、"年表的"な歴史の描き方を成功させているのではないでしょうか。

あと、この映画、音楽が好きな人は思わずニヤリとする場面で満載ですね。
ジェニーの部屋にジョーン・バエズのポスターが貼ってあって、"Blowin' In The Wind"を歌ってたり、ベトナム戦争のシーンで、ジミ・ヘンドリクスやドアーズがかかったり、ジョン・レノンと話すシーンが出てきたり・・・というわけで、それぞれの時期を代表する音楽が沢山盛り込まれているんですね。

繰り返しになりますが、アメリカを描くという意味で、あくまでもこの映画の主役はフォレスト・ガンプが出会う多くの人々で、ガンプ自身は、最高の脇役な気がします。

だから、登場人物としては、ガンプの幼馴染・ジェニーの方が、強烈な印象があります。
最初、ジョーン・バエズに憧れて、歌手を目指しますが、その後、ヒッピーになり、麻薬に溺れて、最後はエイズで死んでしまうという流れが、公民権運動→Love&Peace、ヒッピー、サイケ→オルタモントの悲劇に代表されるLove&Peaceの幻想崩壊のようで。

ダン少尉も、ベトナム戦争の癒えない痛みに苦悩する姿が、戦争に赴いた兵士達の象徴的な存在です。

もっとも、フォレスト・ガンプは、劇中でアメリカン・ドリームを体現しているわけですから、アメリカの一面を映し出しているのは間違い無いと思います。

それと、ガンプの朴訥な性格が、映画としての感動という側面も付加しているわけで、やっぱり、評判になっただけのことはあるなぁ、と素直に楽しめる映画でした。

読書状況 観終わった
カテゴリ 映画(洋画)
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