さがしもの (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2008年10月28日発売)
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本棚登録 : 8629
感想 : 844
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R2.4.30 読了。

 本にまつわるエトセトラ。
 『旅する本』、人が旅するように、本もまた旅をする。
 『不幸の種』、最初は難解と思えた本が、自分の成長に合わせて姿かたちを変えてゆき、いつの間にか自分にぴったり寄り添うようになる。同じ本を読むことで、自分の変化、成長の度合いがわかる。
 『さがしもの』、おばあちゃんが亡くなる前に孫娘に探してほしいと託した本。孫娘はおばあちゃんが亡くなってからも探し続け、おばあちゃんがその本を熱望したのかをその本を読むことによって知ることができる。などなど。
 角田さんのこの短編集のような世界観がたまらなく好きですね。ストーリーが気になって先を早く読みたいが、居心地の良い世界観から出たくなくなるような。

・「私の思う不幸ってなんにもないことだな。笑うことも、泣くことも、舞い上がることも、落ち込むこともない、淡々とした毎日のくりかえしのこと。」
・「あいかわらず、いろんなことがある。かなしいこともうれしいことも。もうだめだ、と思うようなつらいことも。そんなとききまって私はおばあちゃんの言葉を思い出す。できごとより考えのほうがこわい。それで、できるだけ考えないようにする。目先のことをひとつずつ片づけていくようにする。そうすると、いつのまにかできごとは終わり、去って、記憶の底に沈殿している。」
・「だってあんた、開くだけでどこへでも連れてってくれるものなんか、本しかないだろう。」
・「本っていうのは、世界への扉」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 作家名
感想投稿日 : 2020年4月30日
読了日 : 2020年4月30日
本棚登録日 : 2019年11月19日

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